コラム

アメリカ「高圧経済」の前提が崩れ、日本に「最悪の組み合わせ」が迫る

2021年06月29日(火)20時16分

FRBによる金利引き上げ前倒しによって、いよいよ正常化に向けた動きが始まったわけだが、従来は、あくまでも「リーマン・ショック後」への対応が論点だった。だが今後は「コロナ後」という全く新しいファクターが加わる。

過度に騒ぎ立てる必要はないが、コロナ危機によって構造的な変化が発生している可能性について、考慮に入れておくべきだろう。

一連の変化は日本にとって極めて影響が大きい。日本は全ての政策が低金利を前提に組み立てられており、物価上昇や金利上昇は「あり得ない」ことになっていたが、アメリカの金利が上昇すれば日本だけが無風というわけにはいかない。

日本はワクチン接種の出遅れに加え、人工知能(AI)、脱炭素といった次世代投資競争でも出遅れており、コロナ後も相対的に低い成長率が続く。低成長に金利上昇が加わるという最悪の事態だけは避ける必要がある。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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