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豪中銀、景気回復遅れる可能性に懸念 デルタ株流行で=議事要旨
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日に公表した9月理事会の議事要旨で、新型コロナウイルスのデルタ株流行により、ロックダウン(都市封鎖)緩和後の景気回復が遅れる可能性に懸念を示した。写真は2018年2月、シドニーで撮影(2021年 ロイター/Daniel Munoz)
[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日に公表した9月理事会の議事要旨で、新型コロナウイルスのデルタ株流行により、ロックダウン(都市封鎖)緩和後の景気回復が遅れる可能性に懸念を示した。ただ、来年には経済が再び力強く成長すると予想した。
議事要旨では、理事会が債券買い入れ縮小の延期を検討したものの、予定通り縮小に踏み切り、少なくとも来年2月までの買い入れプログラム延長を決定したことが分かった。
議事要旨は「ワクチン接種率が上昇し、制限が緩和される中、経済は回復すると見込まれた」と指摘。「しかし、回復の時期とペースに関する相当の不透明感があり、回復は2021年に入ってからこれまでの経験よりも鈍化する公算が大きい」とした。
シドニー、メルボルン、キャンベラでいずれもロックダウンが敷かれ、アナリストらは第3・四半期に経済が3%以上縮小する可能性があると指摘する。
ワクチン接種率は10月半ば以降の制限緩和が認められる水準に加速しており、豪中銀は第4・四半期の回復を期待している。
とはいえ、アナリストらもデルタ株を懸念。HSBCのオーストラリア担当チーフエコノミスト、ポール・ブロックスハム氏は「他国の例を見ると、たとえ接種率が高くても感染拡大には依然として抑制措置やロックダウンで対応する必要があるかもしれない。結果として、現在の下降局面からの回復は緩やかなものにしかならないというのがわれわれの見方だ」とした。
賃金や物価の伸び悩みを踏まえ、理事会が引き続き2024年まで利上げを予想していないことも示された。
RBCのチーフエコノミスト、Su-Lin Ong氏によると、これは豪中銀が世界的な「引き締めパーティー」に「適度に遅れる」ことを意味する。
同氏は「主要な失業、賃金、インフレ目標に向けた進展ペースの鈍化や、高水準の家計債務を含め、豪中銀が一段と緩やかなアプローチを採用すると見込む理由は複数ある」と指摘。「豪中銀の量的緩和が2022年第3・四半期に終了すると仮定すると、政策正常化は早くとも2023年第4・四半期までは見込めそうもない」とした。