ニュース速報

ビジネス

ロイターネクスト:プラダ次期CEO、一族経営維持を表明

2021年11月28日(日)07時57分

11月25日、イタリア高級ブランド、プラダのパトリツィオ・ベルテッリ最高経営責任者(写真)が後継者に指名した長男のロレンツォ・ベルテッリ氏はロイターのインタビューで、一族による経営を今後も維持していく考えを明らかにした。写真は伊バルビーニャの生産拠点で2018年7月撮影(2021年 ロイター/Stefano Rellandini)

[バルビーニャ(イタリア) 25日 ロイター] - イタリア高級ブランド、プラダのパトリツィオ・ベルテッリ最高経営責任者(CEO)が後継者に指名した長男のロレンツォ・ベルテッリ氏はロイターのインタビューで、一族による経営を今後も維持していく考えを明らかにした。インタビューの全容は12月1日に開催する「ロイター・ネクスト」会議で配信される。

パトリツィオ氏は先週の投資家向け説明会でロレンツォ氏を正式に後継者に指名した上で、向こう3-4年で引き継ぎができるとの見通しを示した。33歳のロレンツォ氏は現在、プラダのマーケティング責任者を務め、デジタル事業拡大に従事。プラダの全売上高に占めるデジタル事業の比率は新型コロナウイルスのパンデミック前は2%にすぎなかったが、中期的に15%まで比率を高めることを目指している。

プラダは高級化路線を追求する経営立て直し戦略が実を結び、ライバルから魅力的な買収・合併相手としてしばしば挙げられるようになった。しかしロレンツォ氏は、一族で株式の8割を保有する同社を身売りするつもりはないと言い切った。

同族経営を維持したいかどうか聞かれたロレンツォ氏は「私の両親にとってそれは一考の余地があるが、私は絶対イエスだ。それ以外の方向は想定していない。私にはまだ長い道のりが残っていて、何事か成し遂げるべきだと思いたいからでもある。だから独立した立場でい続けたい」と語った。他のブランド買収について当面機会はないとしつつ、「明日のことは分らない」と述べ、完全には否定しなかった。

一方、主要ブランドのプラダとミュウミュウをアマゾン・ドット・コムで販売することについて、少なくともしばらくは可能性がないと発言。「われわれは傘下最小のブランドの1つ(カーシュー)で試してみた。現段階でアマゾンがより大きなブランドに対応する準備が整っているとは思えない。プラダとミュウミュウが今、アマゾンのプラットフォームにある図は見えてこない」と付け加えた。

プラダは先週、グループの営業利益率を中期的に20%に引き上げる目標を発表した。これは企業規模がもっと大きいルイ・ヴィトンやグッチ、あるいはプラダが絶頂期に記録した利益率である27%よりも低い。

それでもロレンツォ氏は、長期的にプラダの利益率も27%に戻ることはできると強調するとともに、同社は高すぎる目標を掲げて失望を誘うより、地に足のついた目標を設定して可能な時期にそれを引き上げることを好むと説明した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中