ニュース速報

ビジネス

米テスラ、第2四半期は売上高・利益が予想上回る 株価上昇

2021年07月27日(火)11時01分

米電気自動車(EV)大手テスラが26日発表した第2・四半期決算は売上高が市場予想を上回った。写真はテスラのロゴ。4月26日撮影(2021年 ロイター/Shannon Stapleton)

[26日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラが26日発表した第2・四半期決算は、売上高と利益が市場予想を上回った。半導体や原材料の世界的な不足による影響は続いているものの、納車台数が過去最高を記録し、業績への追い風となった。

株価は、引け後の時間外取引で1%近く上昇した。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「世界的な半導体不足の状況は、依然かなり深刻だ」と語った。

テスラは多くの不足を解消するためにサプライヤーと何度も電話をしていると明らかにした。

テスラは独自の半導体工場を建設すべきとの見方があるが、マスク氏は時間がかかると指摘。「稲妻のような速さで動いても、12─18カ月はかかる」と述べた。

マスク氏は、ピックアップトラック型EV「サイバートラック」や次世代バッテリーの量産開始時期に関する詳細には言及しなかった。

次世代電池セル「4680」について「最後の技術的問題がいつ解決するか見極めるのは難しい」と述べた。

その上で、既存の「2170」電池セルを使用するバックアッププランがあるとし、サプライヤーが来年、生産を倍増させると明らかにした。

マスク氏はまた、今後は、投資家やアナリスト向けの決算説明会に恐らく参加しないと述べた。

第2・四半期の売上高は119億6000万ドルと、前年同期の60億4000万ドルから拡大。リフィニティブのまとめたアナリスト予想は113億ドルだった。

テスラは今月、第2・四半期の納車台数が20万1250台と過去最高を記録したと発表。半導体や原材料の不足に対応する中、高価格帯モデルの「モデルS」や「モデルX」が減少したものの、量産型セダン「モデル3」​とスポーツ用多目的車(SUV)「モデルY」の販売が好調だった。

純利益は11億4000万ドル。特別項目を除いた1株利益は1.45ドルで、アナリスト予想の0.98ドルを大幅に上回った。

テスラは、販売台数の伸びとコスト削減が、サプライチェーン(供給網)に絡む追加コストや温暖化ガス排出枠(クレジット)売却収入の減少、暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」への投資に絡む2300万ドルの損失などを相殺し、営業利益が増加したと指摘した。

テスラはこれまで、他の自動車メーカーへのクレジット売却収入で黒字を確保することが多かった。第2・四半期のクレジット売却収入は3億5400万ドルにとどまり、2019年末以降初めて、クレジットを除いても黒字を達成した。

インベスティング・ドット・コムのシニアアナリスト、ジェシー・コーエン氏は「売上高の大部分をEV販売で稼ぐ好決算だった。102億ドルの自動車関連収入のうちクレジット売却はわずか3億5400万ドルと、過去4四半期で最も低い水準だった」と述べた。

テスラは21年に納車台数を50%超増やす計画を維持した。ただ「伸び率は当社の設備能力や操業効率に加え、サプライチェーンの能力と安定性に左右される」とした。

米テキサス州とドイツでのモデルY生産を年内に開始する見通しとする一方、電動トラック「セミ」については生産開始を22年に先送りする方針を示した。セミの生産工場に一段と注力できるようにするほか、電池セルの不足や世界的なサプライチェーンの問題が理由とした。

決算説明会で同社幹部は、今後の量産台数の伸びは部品をどの程度調達できるかに左右されると説明した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、半導体売り続く 一時30

ビジネス

海外勢の米国債保有、2月は過去最高更新 日本の保有

ビジネス

米インフレ抑制、停滞の可能性=ボウマンFRB理事

ビジネス

G7財務相、イラン制裁やロシア凍結資産の活用で協力
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像・動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 5

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 6

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    対イラン報復、イスラエルに3つの選択肢──核施設攻撃…

  • 10

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中