ニュース速報

ビジネス

テスラ車事故30件を米当局が調査、運転支援システム使用巡り

2021年06月18日(金)11時27分

6月17日、米道路交通安全局はテスラの先進運転支援システム使用が疑われる事故について、30件の調査をこれまでに開始したことを明らかにした。写真はテスラのロゴ。ロンドンで5月撮影(2021年 ロイター/Matthew Childs)

[ワシントン 17日 ロイター] - 米道路交通安全局(NHTSA)は17日、米電気自動車(EV)大手テスラの先進運転支援システム使用が疑われる事故について、30件の調査をこれまでに開始したことを明らかにした。2016年以降に発生したこれらの事故では10人が死亡したという。

特別事故調査プログラムの下で調査中の衝突事故について、詳細を記したリストを公表した。

NHTSAはこれまで、一部テスラ車の事故調査について明らかにしていたが、同社の運転支援システム「オートパイロット」との関連が疑われる事故についてNHTSAが調査している全案件の詳細はロイターに対して開示していなかった。

30件の事故のうち3件について、NHTSAはオートパイロットの関連を排除し、うち2件について報告書を既に公表している。

テスラは現時点でコメントの要請に応じていない。

NHTSAは以前、テスラ車について28件の特別事故調査に着手し、うち24件は調査を継続中としていた。NHTSAのリストには、オートパイロットの使用が不明の19年2月の事故も含まれている。

調査担当者らはこれまでに、16年以降の死亡事故では少なくとも3台のテスラ車でオートパイロットが作動していたと述べている。

NHTSAのリストによると、同局は今年3月以降、テスラ車の事故について新たに8件の調査を開始した。

テスラ車を巡っては、4月にテキサス州で起きた事故で2人が死亡し、地元警察が運転席が無人だったとの見解を示したことを受け、運転支援システムの安全性に再び注目が集まった。

運輸安全委員会(NTSB)は5月、この事故について、オートパイロットの構成要素である自動操舵(そうだ)機能が使えない状態だったとの調査結果を発表した。

上院商業委員会は16日、自動運転車の早期普及に向けた規制緩和案を否決した。マリア・キャントウェル委員長(民主党)は否決の理由にテスラ車の衝突事故を挙げ、「オートパイロットが作動中の自動車が衝突したと2週間に1度は耳にしている気がする」と述べた。

NHTSAはテスラ車以外の運転支援システムに絡む衝突事故6件の調査を開始したことも明らかにした。「キャデラック」の事故が2件、12年型「レクサス RX450H」と仏ナビヤの17年型「ナビヤ・アルマ」が関係する2件が含まれたが、いずれも負傷者は報告されていない。

残る2件は17年型「ボルボ XC90」が絡んでおり、米ウーバー・テクノロジーズによる自動運転車の公道試験で使われ、アリゾナ州で女性をはねて死亡させた18年の事故が含まれる。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ

ビジネス

ECB、賃金やサービスインフレを注視=シュナーベル
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中