コラム

【追悼】元スパイ作家ル・カレに元CIA工作員から愛を込めて

2020年12月26日(土)11時30分

私は工作員になりたての頃、ル・カレの作品にはこの世界のポジティブな側面が欠けていると感じていた。私たちが冷酷になるのは、私たちが守りたい人々のためだ。もちろん、国益の前では理想など吹けば飛ぶようなものであることは知っていたが、今も同僚のほとんどは立派な人格者だと思っている。しかし、その代償は......息子にこう言われことがある。「父さんの仕事を尊敬するよ。でも、ひどく孤独だね」

最高の情報工作員とは、不道徳で冷酷な職業に生きる一流のモラリストのことだ。この世界の曖昧さ、矛盾、個人的悲劇、 それでも理想の光を求める工作員の切なる願い──その描写においてル・カレの右に出る者はいない。

スパイは秘密の場所で会う「ターゲット」の心を操り、場合によっては破壊する。だが、同時に愛情を抱いてもいるのだ。

<2020年12月29日/2021年1月5日号掲載>

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7月27日号(7月20日発売)は「ドキュメント 癌からの生還」特集。東大病院から「逃亡」、転院先では手術回避、最後は自ら選んだ治療で生き延びた記者の「決断と選択」

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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東大病院から「逃亡」、転院先では手術回避、最後は自ら選んだ治療で生き延びた記者の「決断と選択」

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