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LINEチャット対応でデータを蓄積、トランスコスモスのAI戦略
Mike_Kiev-iStock.
<コールセンターで電話に取って代りつつあるLINEチャット。膨大な数のメッセージに丁寧かつ迅速に対応できるチャットオペレーターの存在が不可欠だが、その通信記録をデータ化すれば、いずれはAIを使ったチャットボットにつながっていく>
人工知能はいろいろな業界の勢力図を塗り替えようとしている。中でも注目すべきはチャットマーケティングの領域。今はアナログの手法が中心だが、いずれチャットボットで全自動化されるはず。その未来に向かってコールセンター大手のトランスコスモスは過去と決別する決意で動き始めた。
金曜日の午後5時。大東建託のLINEアカウントを通じて「礼金ゼロ円キャンペーン」の案内を一斉同報したところ、その直後から何万というLINEメッセージがまるで嵐のように押し寄せてきた。対応するのは、大東建託の委託を受けた数十人のトランスコスモスのチャットオペレーターたち。ある程度の瞬間風速を予想し、一人当たり十一画面とにらめっこをしながら対応に努めたが、熟練者でも圧倒される勢いだ。
「神対応」が評判に
発表文によると、LINEアカウントを通じた大東建託に対する問い合わせ件数は3カ月平均で一日180件にも上った。LINEのやり取りのあと、実際に来店し、賃貸契約に至った顧客も大幅に増加したという。
ユーザーの評判も上々だった。「勘違いした問い合わせにもチャットオペレーターが親切に対応したので、『神対応』としてネット上で話題になったりしました」(transcosmos online communications貝塚洋社長)。「多くのユーザーにとって大東建託さんとのファーストコンタクトになる。そこでの対応がよければ、その会社のイメージががらっと変わる。チャット対応の責任は重いんです」(トランスコスモス上席常務執行役員・緒方賢太郎氏)という。
【参考記事】カスタマーサポートでチャットボットの普及が見込まれる理由
緒方氏によると、かわいいスタンプを無料配布することで数百万人程度の「お友だち」を獲得することは可能。大手ECサイトともなると3000万人程度の「お友だち」がいるという。ものすごい数だ。そこに向かってメッセージを発信することで、低コストで「お友達」から「顧客」へのコンバージョンが可能だという。貝塚氏によると、某クライアントの顧客獲得コストは、リスティング広告の3分の1程度にまで削減されたという。
なぜチャットマーケティングがここまで効果を発揮できるのか。1つの理由は、若者のコミュニケーションツールが、電話、メールから、LINEへと移行してきているからだ。貝塚氏は「われわれの調査によると、10代、20代のコミュニケーションの7、8割はチャットベース。余程のことがないと電話しないんです」と言う。
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