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最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性

山本彌生|アメリカ

クリーンエネルギーとポートランド、明るさと未来への3つの鍵

Kurt Bonneville Dam (2).jpegポートランドから車で約30分に位置する、ボンヴィル・ダム。多くの電力を主要地域に供給する大切な供給元。Photo | NW RiverPartners, Kurt Miller

| 3つのヒント ‐ コミュニティーの心地よい環境を創造するために

そんな日本も『2050年カーボンニュートラルへの挑戦として、経済と環境の好循環につなげるための産業政策』を現政権がたてました。脱炭素社会の実現を目指すことへの宣言です。

クリーンエネルギーの未来を考えるとき。そして、真に持続可能な未来を手に入れるため。これには、コミュニティーのメンバーである市民全員が力を合わせなければ、実現が遠のく。そうカートさんは言います。

そして、そのためのアプローチの鍵は3つ。

『自分たちの働きと根拠を聞いてもらう』ツールを用意すること。

正しい情報を発信する手段としては、2種類。無料・有料両方から積極的に行う方法に展開します。

「過去2年間で、約50本の記事を新聞や地域メディアに無料提供・掲載をしています。内容は、将来の環境問題、気候変動との戦いにおける水力発電の必要性、経済・信頼性、利点と懸念点など。とにかく具体的に、わかりやすく書くこと。また有料サイトには、地域住民に向けた丁寧な説明、展開、無料キャンペーンなどの情報です。 市民と利用者の声をしっかりと、この社会に反映させる。そのためにも、サイト読者の意見を聞き上げるという点に重きを置いています。」

ともすると、地域行政や非営利団体は、ビジネスに比べてこの発信にそれほど力を入れていないのかもしれません。しかしこれからは、組織として行政も企業も関係なく発信することにもっと力を入れていく時代なのだと感じます。

『ストーリーテリング』。ストーリーを発信していくこと。

「すでに長年言われている、この時代には必要不可欠な発信内容です。それぞれのコミュニティー、団体、企業。すべて、共有すべき重要なストーリーを持っているはずです。もし無いというのであれば、これを機会に真剣に深堀してみてください。作り上げられていない(嘘のない)ストーリーを考え、共有できるように変化させる格好のチャンスです。」

ストーリーテリングは、関連しているAとBに共通認識と共感を持たせるという意味で、どの分野でも効果的なやり方です。どの組織にも一つはある、それぞれのストーリー。そこを広げてみるのはどうでしょうか。

生き残る一つの方法として、『良い新規パートナーを見つける』こと。

2020年は誰にとっても長くて大変な年でした。そして、この苦しみは多くの国にとって続いているものです。

特に中小企業や団体で、辛い思いをしている人は多くいます。そういった同士が、手を組み共助し合い、そして新しいものを作り出していくことが必要とされる時期。

「でも、所かまわず数打てば当たる方式は避けてください。先ずは、コロナ前の彼らの仕事の具体例を見ることです。その事例が、あなたの企業の色に合うことが基本です。そして、あなたの組織が何を達成しようとしているのか。それを相手に真摯に話すこと。そして必ず、win-winの提案があることも確認すべき点です。それらのアイデアを聞き知ることで、相手の企業があなたのビジネスと目標に合うのか。役立つか。その見通しを立てることができますから。」

この2年間で、バーチャル社会の発展によって、電気がますます必要になっている社会へと急速な変化を遂げています。しかし同時に、人を直接訪問することの大切さ。そして、ありがたさを感じているというカートさん。

便利さが優先するこの社会です。とはいえ、人と人との交流に取って代わるものではありません。そう、にっこり微笑む姿。その奥には、社会を変えていきたいという真っすぐで静かな情熱を感じました。

この社会は、個人の集合体です。個人の小さな働きかけに行動が伴えば、社会はゆるやかにでも変わっていくのではないでしょうか。

ほんの一ミリ程の働きかけ。今日、あなたはなにをしたいですか...。

次回は、多くのリクエストにお答えして『オーガニック食材』ブランド。CEOの登場です。地産地消ブランドとして、フルーツ農園から冷凍フルーツ産業への進出。新しいビジネスへの変革と成功。オレゴンのフルーツ・レシピも!8月11日掲載です!

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Photo | NW RiverPartners, Kurt Miller

「本、コト、ときおりコンフォートフード」

カート|he/him|エグゼクティブ・ディレクター

ハーブティーのアロマのような、ほのかな隣人愛

去年からのコロナ禍、不安要因から社会もなにかと落ち着かないこの2年間。私自身も、心がざわつく経験をしています。そんな時、あえて時間を作りだして、お気に入りのハーブティーを入れます。今のお気に入りは、レモン・ジンジャー。甘酸っぱさの中にピリッとした生姜の風味。このコンビネーションが好きなのです。そして、いつも持ち歩いている聖書を開きます。紆余曲折あった人生の半ばで、プロテスタントのクリスチャンになりました。今、心に響いている箇所は、「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい」。疲れ切っている時期だからこそ、ほのかなアロマのほどの暖かさをもった視線を隣り人に投げかける。この気持ちを忘れないようにしたい。そう、祈る毎日です。

記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください

 

Profile

著者プロフィール
山本彌生

企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。

Facebook:Yayoi O. Yamamoto

Instagram:PDX_Coordinator

協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)

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