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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

イタリア選手団、東京オリンピックで国歌や国旗の使用禁止か

iStock- Ryosei Watanabe

| イタリアから見る東京オリンピック2020+1

イタリアで東京オリンピックは、どのように報道されているか。

東京でのオリンピックは、パンデミックにより昨年2020年から延期になって、開幕まで後5ヶ月と迫ったころに起こった東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森氏の女性蔑視発言による辞任について、
イタリアの大手新聞コリエーレ・デラ・セラの記事では、

就任式で世界的に森氏のショットを見た、そして東京オリンピック開会セレモニーを待っている間、この紳士は「下品な性差別」のカテゴリーで金メダルを獲得することによって、すでに別の意味で世界的に名声のある人となった。
彼はそれを15分で獲得した。

という書かれようであった。

イタリア語になって訳されて報道されている内容は、

"先日、森喜朗氏は、コロナウイルスの状況に関係なく7月にオリンピックが開催されることを確約した後、議会委員会の女性の数が少ないことについての質問に答えた"

«問題は女性は話しすぎて、評議会に多くの人がいたとすれば、会議は決して終わらないでしょう。女性は結論を出すのに苦労し、煩わしいので、まず、介入の期間を制限する必要があります»。

その理由を明確にする説明として、

«女性は強い競争意識を持っています。一方が手を挙げて話すと、他の人もそうしなければならないと感じるのか、ビジネスが終わることはありません»。

と森氏の発言についてをイタリア人による日本語記事の解釈により訳されて、イタリアでは伝えられていた。

(20人を超える理事メンバーのうち女性は5人だけであるにも関わらず)
全理事のうちコーポレートガバナンスにおける女性の割合を40%以上に増やすというコミットメント目標も掲げてもいた。現時点では約20%に止まっている。
日本の新聞・マスコミは、その場にいた参加者の誰もがその発言に対して反対する人はいなかったし、確かに、笑いがおこったとも報道されている。

という注釈付きであった。日本で報道されていた森氏の女性蔑視と捉えられる発言の部分は、ほぼ内容もニュアンスも同じで間違ってはいない。
しかも、問題の根本も見逃してはいない
JOSトップの性差別発言に、周りがヘラヘラ笑って流してしまっている点もイタリアでは記事にしていた。

| イタリアの記事で森氏についての紹介

「問題が明るみになった森喜朗さん(83歳)は、2000年から2001年まで、著名な政治家であり、日本の首相でもあった。わずか1年と彼の政府は短く、支持率わずか9%という不人気の記録を打ち立てた後、辞任をした。
閣僚ゲーム以外では、2014年に東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の会長に就任。
オリンピックはすでに日本人の間であまり人気がなく、健康リスクを冒してでもやるオリンピックについて世論の80%は良いと思ってはおらず、何万人ものアスリート、コンパニオン、観客がスタジアムを埋めることに反対している。それに対し、森さんは、"重要なことは拍手をするだけに制限すること、ウイルス粒子の飛沫を避けるために、応援、叫び、歌うことをしないこと"と、提案した。
組織委員会の超男性的な排外主義者の会長に、辞任を促すキャンペーンがソーシャルネットワークで始まった。
野党は彼の解任を求めた。オリンピック聖火リレーに参加することになっていた有名な俳優が抗議して撤退した。」

というふうに、記事では書かれていた。
大筋、書かれていることは間違っていはいないと感じる。聖火リレーを辞退したロンドンブーツの淳さんは、有名な俳優扱いになっている。女性蔑視発言への抗議で聖火リレーを辞退という捉えかたもされている点は間違っているように感じる。実際は、ご本人がツイッターで書いている通り、

日本人にとってオリンピックは人気がないという書かれ方と、日本人の世論8割がオリンピックに反対しているという数字もどこからの調査ででたのか謎である。


国際オリンピック委員会IOCには、忘れてはならない原罪もある。

現代オリンピックの創設者であるピエール・ド・クーベルタン男爵は、第1回アテネ大会(1896年) 1896年4月6日、第1回アテネオリンピック大会は、女性アスリートの出場を禁止した。酷い女性スポーツ差別の実態があった歴史がある。
第2回パリ大 会(1900年)ではテニスとゴルフに若干の女性が参加した。彼女達はテニスとゴルフで競争するのに十分なほど勇敢だった。
1928年になって初めて、女性アスリートが5つの陸上競技大会に参加することができた。
今、平等の議論は補償に移っているという。

しかし、21世紀の今現在、現代社会において森氏のした発言は、時間切れの年老いたご年配の幹部がしただたの失言であったではすまされない。
ナタリー・ロワゾー欧州議会議員が投稿したツイートもイタリアでは紹介された。
ツイッターで森氏の女性蔑視発言に対し、ナタリー・ロワゾー欧州議会議員は、

ほら、森さん、女性は簡潔にする方法を知っています。たとえば、あなたに答える(フランス語で)2つの単語で十分です:Taisez-vous»。「お黙りなさい」。

おそらく最も適切で端的な反応だったとイタリアでも評された。
世界第3位の経済大国である日本は、世界経済フォーラムによって作成されたジェンダー格差に関する報告では、世界152カ国中121位にランクされている。


| 2021年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の指揮をとる橋本聖子って誰?

日本は、女性に対する蔑称で辞任を余儀なくされた83歳の森の代わりに、東京組織委員会の新しい委員長を選んだ。橋本聖子の正式任命:東京2020 +1オリンピックのトップの女性。

イタリアの記事で橋本聖子さんについての紹介

橋本聖子氏(56歳)は、日本で数少ない女性大臣の一人。2019年以来、彼女はオリンピックの大臣を務めていた。夏冬計7回その内4回がスケーター、3回がサイクリストでオリンピックに出場したアスリートとしての実績を持つ日本のアスリートであり、1992年にアルベールビルで1500メートルのスピードスケートで銅メダルを獲得した。
橋本氏は森氏の後任としての会長の推薦を受けた当初、その地位を拒否したであろう。
2014年ソチオリンピックで主人公が日本チームの代表団長を務めていたスキャンダルのおかげで、過去からの影響を恐れていた。
オリンピック村でのパーティー中に、当時28歳で独身だったスケーターの髙橋大輔に彼女へキスを強要したところを写真に撮られた。彼女は結婚しており2人の子供を持つ母親でもある。セクハラで告発され、タブロイド誌(週刊文春)が発行した写真は多くの誇大宣伝を引き起こし、公に謝罪しなければならなかった。今では、歴史上最も複雑で問題を抱えたオリンピック東京2020 + 1オリンピックのナンバーワンである。会長就任スタートから5ヶ月(7月23日)、これから橋本聖子氏のやらなければいけない事柄は、そう簡単にいくような単純なものではありません。

という紹介であった。過去のセクハラスキャンダルについてまで、しっかり記事にされていた。

IOCとその会長であるトーマス・バッハの「オリンピックは必ず開催する」という揺るぎない自信にもかかわらず、大会開会式は7月23日に予定されているが、実際は依然として非常に不透明である。
委員会は、アスリート、代表チーム、マスコミ向けの交戦規定を含むプレイブックの配布を終えたところだという。

イタリアからの懸念は、すべてを非常に困難にする検疫とワクチンの義務を除いて、重要な制限が残っているという点で、
出場選手や選手を支えるスタッフなど認定された人々は、実際には選手村と競技スペースのみの移動に限定され、旅行や買い物、公共交通機関の使用は完全に除外される。オリンピックスペース以外への移動は、認定取り消しのペナルティが科せられる事に同意することで、オリンピックスペース内に入ることを承認される。

PCR検査結果もオリンピック期間中の長い期間をカバーする陰性証明とはならず、それは日本の土壌に滞在する必須の最低日数滞在期間に結合されるため、アスリートは競技を終えて直ちに最初のフライトに乗り、帰国する必要があるという点。
そして、主要な問題が1つが、日本とイタリアを往復するフライトについてである。
11,000人のアスリート(および多くのスタッフ)が、日本の空港2つだけに到着しなければならず、数時間の間にそれを200か国の参加国が皆同時にするとなると混乱が起こるであろう。
しかも、Covidのせいで航空交通は長期間大幅に減少したままである。
たとえば、現時点では、伝統的にイタリア代表の選手が搭乗するアリタリア航空は、ローマ・フィウミチーノ空港とミラノ・マルペンサ空港から東京へのフライトは1日1便しか提供しておらず、1,000人の乗客と貨物を1機体に詰め込んで飛ばす場合、数十回のフライトに分割する必要がある、この実際に起こるであろう困難な実態が懸念されている。

2020年3月24日。 新型コロナウイルスの感染が世界に拡大する中、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期が決定。
この東京オリンピックの1年の延期のニュースで、オリンピック金メダリストのイタリア女子競泳選手フェデリカ・ペレグリーニは、彼女は自身のインスタグラムのストーリーでその時の心境を語った。

「私はそれを信じたくありません...。冗談?運命?それらは偶然のように思えます。私はもう一年泳がなければなりません...。(もう笑うしかないから笑っている)実際には泳ぐ事を止めることはできません。
今年2020年に競争したいと思っていましたが、世界と多くのアスリートがパンデミックコロナ禍でろくに準備もできていない状態で大会に出場しなければいけなかっただろうし、トレーニングをする機会もないので、オリンピックを1年延期するという決定は正しいと私は同意します。私たちはできる限り準備します、それはただ自分の体が1年持つかの問題だけど、全て再プログラミングしてもう1年がんばります」とイタリア代表の水泳の女王は締めくくった。

前回オリンピックでは開会式で入場するイタリア選手団の旗手も務めた、そんなイタリア代表の水泳女王のフェデリカ・ペレグリーニ(32歳)が2020年10月15日にコロナウイルスに感染した事を公表した。
だいぶ泣いた後に、ビデオで「競技をしたかったんだけど、陽性です。本当に申し訳ない」とメッセージを残した。

オリンピックを1年延期する事、その1年は選手にとってはとても長く、とてつもない重圧で、ベストな状態をキープし続けなければならない辛さは容易に察することができる、ペリグリーニ選手は現在32歳という年齢もあり最後のオリンピックになるのではないかと思うと、このコロナウイルス陽性結果はどんなに辛かっただろうか。
コロナウイルスを完治した人達は、治った後も後遺症に悩まされており、階段を三段登っただけで息切れがして、とてもきつく日常生活に支障が出ているというのを聞く。ペリグリーニ選手は競泳選手なので、コロナウイルスによる心肺機能へのダメージは致命的であると思うので、とても気になる。

オリンピックでは注目して応援をしようと思う選手の一人である。

| オリンピックと政治を切り離すべき


IOCによると、イタリアオリンピック組織委員会( Comitato Olimpico Nazionale Italiano=CONI)のジョバンニ・マラゴ会長の権力による人事で選ばれた者で構成されているCONIが、議会に提出したスポーツに関する新たな法律の枠組「スポーツ改革法」が成立し、財政部門の資金を管理する合資会社のSport and Health(スポーツ&健康)が2018年からイタリア政府の財務省の会社となった。この組織は以前CONIが管理を行っていたが、政府の財務省が直轄になったことで、スポーツ予算の配分を行っている現状がオリンピック憲章に抵触しているという。CONIは独立性を失い自治権は損なわれていることになるという。
IOCは、
「スポーツの政治からの独立を神聖なものとして保持するオリンピック憲章の基本原則に違反している」という警告を書簡でイタリアオリンピック組織委員会のマラゴ会長に通知した。
その後も何度も通知したという。
国際オリンピック委員会IOCの温厚な通知と調停の試みをしている猶予期間は期限切れで、もうこれ以上待てない。
IOCからイタリア政府に最後に送られたものは、「状況がほぼ2年間停滞していることを考慮し、イタリアのオリンピック運動と選手の利益のためにさらに遅れることなく行動に移すこと」という正式な要請が通達された。


ローザンヌのオリンピック委員会のスポークスマンによると、数ヶ月前から何度もIOCの立場から、イタリア政府当局にイタリアオリンピック委員会(CONI)がその役割と運用を完全に実行できるようにするために、問題を確実に早期に解決し、すでに提示したソリューションを遅滞なく好意的に評価および実装する必要性を明確に表明している。
この状況は、東京2020オリンピックと北京2022冬季オリンピックへのイタリア代表チームの参加準備を深刻に危うくしているという。

1月27日にされたIOC実行委員会の会合が締め切りだった。スイス・ローザンヌから、イタリアにはこれ以上の遅延の余地などなく、最後通告をした後、通知はもはやこれ以上しないということも明確にされていた。


違反があった場合は直接制裁措置を講じるという。

直接制裁措置とは?イタリアはオリンピック出場禁止の危険にさらされているのか?

罰は、より穏やかな尺度としてのサスペンションを提供するオリンピック憲章の59.1.4に詳述されている事柄を含むことができるとし、延期になった東京大会2021で、イタリア国歌とイタリア国旗の使用を禁止にするという。
開会式にはイタリアのトリコローリ国旗をふって入場することも、メダリストが表彰台に立っても授賞式でイタリア国歌マメーリの賛歌(Inno di Mameli)を流すことはできず、歌うこともできない!?


現在、国際オリンピック委員会によってそれらが停止されているのは、ロシアとベラルーシの2カ国だけだ。
ロシアとベラルーシはまったく別の理由ではある。ロシア選手団は国家ぐるみのドーピング問題で東京オリンピックへの出場を禁じられた。ベラルーシはアスリートを政治的差別から守っていないことが理由。

イタリア政府は、国歌のスポーツの歴史の中で前例のないペナルティを免れるために3週間の猶予が与えられた。

フェッリアーニ:«残り時間はあまりありません。明確化するための質問状に対するイタリア政府側からの回答を待っています。まず第一に、イタリアスポーツ省とイタリアオリンピック委員会CONIの間で、深い対話がなされることを確実にしていただきたい。私たちの要求は明白です。政府のスポーツ省によって、政治への絶対的な依存を強制されてはなりません。イタリアオリンピック委員会CONIは独立的に機能し、その政治的選択に影響を与える第三者に依存することなく、意思決定を行う必要があります»。

«信じてください。ここIOCの誰もが、開会式でのイタリアの国旗や東京オリンピックの授賞式でのマメリの国歌を否定したいとは思っていません。それは非常に辛い決断です。しかし、オリンピック憲章の神聖で拘束力のある、政治からのスポーツの独立の原則は、現時点ではイタリアでは保証されていないように思われるという事実は残っています»。

世界のスポーツ政治において最も影響力のあるイーヴォ・フェッリアーニ(60歳)は、国際ボブスレー連盟の会長であり、すべての冬のボブスレーのコーディネーターである。
フェッリアーニ氏は、オリンピックの最高意思決定機関であるIOCの15人の理事会メンバーの1人。
伊政府、そのスポーツ&サルート会社、イタリアオリンピック委員会CONI(フェッリアーニも権利あるメンバーの1人)とIOCの間で、非常に絡み合った論争において、裁判官のように公平にジャッジできる微妙な役割を果たす人物である。
2021年1月27日、ローザンヌの会合でIOCがイタリアへの最初の正式な警告をしたことは、非常に直接制裁措置におけるペナルティーを受けるリスクが高いということだとフェッリアーニ氏はいう。

イタリアは東京オリンピック・パラリンピックで、イタリア国旗を掲げ、イタリア国歌を歌うことができるのだろうか。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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