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ルワンダのカリツィエから見る日々のあれこれ

大江里佳|ルワンダ

ルワンダ不動産事情

(筆者撮影)

ルワンダに来てから6年程経つが、これまで色んなところに住んできた。前半は東部や北部の地方に一人暮らし。後半は首都キガリでパートナーと同棲をしたところから現在息子と基本3人の家族で暮らしている。地方と首都では生活スタイルがガラッと変わり、街中や人の雰囲気もやっぱり違う。逆にこんなに環境が違うのに、ルワンダ人らしいところで共通するところなどがあるのもまた面白い。

今日はこれまで色んなところに住んできた経験からルワンダの不動産事情について話したいと思う。

2018年にパートナーと同棲する家を決めて、キガリに暮らし始めてから、今のお家は4軒目。3年弱で3回も引越しを経験した。これもまたルワンダ人によくみられる行動なのだが、ここルワンダでは引越しがとっても頻繁に行われる。最初に数ヶ月分の家賃を払う以外には基本的には契約期間等のしばりはなく、家主と交渉で大まかな契約書を書いて、お金を払ってしまえば、直ぐにでも引っ越すことができる。逆に数ヶ月住んで気に入らない事があったり、家賃を支払うのが難しくなったりすると、他に家を探し始めて良いところが見つかれば引越しをする人が多い。この前までここに住んでいた友だちが知らないうちに近所に引越していたという事にこれまで何度も出くわした。
そんなことからも引越しはルワンダ人にとって私たち日本人よりかなり身近な行動なのかなと感じる。

私たちもこの3回の引越しでいろいろな物件に出会ってきた。

1番初めに住んだところはバーの裏に併設して貸し出していたお部屋で、立地はメイン通りに近く街中だったので便利な所であった。バーの騒音がマイナスになりそうだが、ダンサーの私たちはそこは問題なくクリア。家にいながらも直ぐにバーの美味しい串焼きを注文して食べられるという利点があったのだが、なぜがそのエリアだけ断水によくなるという問題とリビングと寝室だけだったので、もう少し広いところを探そうとなり、引越しに至った。

次の物件は大家さんの家の敷地内にもう一つ建てられた一軒家。トイレお風呂は外だったが、一軒家という開放感と広い割に家賃もお手頃でここに決まった。しかしメイン通りから大分歩いて治安の悪い細道を通らなれけばならず、また引越しを決める。

3軒目は敷地内に一軒家と4軒ほど住めるアパートがある物件。ここの一軒家に決め、とても綺麗で水回りもよく気に入っていたのだが、唯一山の上にあるという点が、妊娠6カ月になった時にこれ以上ここを毎日登り下りするのは無理となり、4軒目の今の住んでいる家へ移ることとなった。今のお家は立地もよくある程度満足していたのだが、子供が生まれたこともあり、いろいろとパートナーと話をした結果、4度目の引っ越しを決め、今絶賛物件探し中である。

IMG_5942.jpg

一軒家の借りているお家(筆者撮影)

日本ではいろんな物件探しのアプリがあったり、不動産屋を訪ねて希望に合う物件を勧めてもらうという方法が基本ではないだろうか。ここルワンダではどうだろう。

ルワンダではこれらの代わりになる コミシヨネーリ(Komisiyoneri)と呼ばれる人たちが存在する。フランス語のCommissionaireから来ていてコミッションの意味。彼らはいろんな分野で物事を代行する人たちのことをいうが、ここでは物件紹介の人たちのことを指す。基本的にどこかの会社や組織に所属しているというわけではなく、みな個人でネットワークを広げ、自分の縄張りの地域の物件を常に更新し集めながら働いている。なので彼らのオフィスは道端である。一日中いろんな物件の情報を集めたり、家を探している人から仕事をもらうため、常に道端に立っているのだ。彼らは特にユニフォームもないし、名札もつけているわけでもないので、どうやったら彼らを特定できるのかと思うが、ルワンダ人に言わせると道端に立つ彼ら独特の風貌でなんとなくわかるのだそうだ。腕の良いコミシヨネーリは有名でその連絡先が出回っていたりもする。

彼らの仕事は歩く不動産屋みたいなもので、家を貸し出したい人と借りたい人をつなげること。家主から家を借りたい人を探して欲しいと言われる仕事と家を探している人から希望にあった家を紹介する仕事があり、それがうまくいって契約となれば、そこで初めて両者からそれぞれ話し合っていた分のお金をもらえる。私たちも現在家探しで何人かのコミシヨネーリに物件の紹介を依頼していて、良い物件が見つかると連絡が来てその都度物件を見にいったり情報をもらって、最終的に気に入った家を決める予定である。なかなかこの物件探し難しいもので、なんとか希望に合うところが見つかっても、少しでも出遅れると他の人に数秒差で取られてしまうというくらい良い物件は競争率が高い。

またこのコミシヨネーリには土地を売る仲介になる人たちもいる。首都はもうほとんど土地がなくなって家が立ってしまっているが、地方はまだまだ土地がありこれから上がっていくことも予想され、先を見据えて土地の購入をする人は多くいる。このコミシヨネーリになるために必要なものはなく、ネットワークとその地域の土地に精通していること。義理母ももう50歳に近いが土地勘があり、人付き合いが得意なことからコミシヨネーリとして土地の紹介を行っている。家探しと違うところは、お金を請求する相手は地主であり、地主がその土地の値段を決めたらそれに自分の取り分を自身で上乗せし、その価格でお客を探すという。交渉の流れにしたがって、その自分の取り分から値下げをしていくのだそうだ。

このふたつの分野を見ただけでも違いがあって面白い。なにより今回も良い物件に出会わせてもらえるようコミシヨネーリから連絡を待つのみ。ルワンダで家を探す時はまずは腕の良いコミシヨネーリ探しからおすすめする。

 

Profile

著者プロフィール
大江里佳

ルワンダキガリ在住。2014年に青年海外協力隊としてルワンダに渡ったことをきっかけに、この土地の人々の生きる力と地域の強い結びつきに惹かれる。帰国後も単独でルワンダに戻り、現地NPO職員を経て、2019年に現地でコンサルタント・現地語通訳等の会社を起業。一方で、現地アフロダンスチームに所属しダンス活動も行う。2018年から同棲を始めたルワンダ人パートナーとの間に子を授かり、2020年に出産。現在家族3人でキガリで暮す。

Webサイト: URUZIGANGO
Twitter: @satoka817

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