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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

国際女性デーとSessismo(性差別)的イタリア語の文法について考える

「WORD-WISE WEB 三省堂の辞書ウェブ編集部によることばの壺」にはこんなふうに書かれている。

「フランス語を含むヨーロッパの言語の大半は、今から 5000~6000 年前にユーラシア大陸の黒海付近で話されていたインド=ヨーロッパ祖語までさかのぼることができる。インド=ヨーロッパ祖語において、名詞は男性/女性/中性の3つのカテゴリーに分類されていたと推定されているんだ。この3つのカテゴリーのうち、男性/女性は雌雄のある生物を示す名詞に用いられ、無生物名詞は中性のカテゴリーに登録されていたと考えられている。」

「後に言語が変化して枝分かれする過程で、中性のカテゴリーに割り当てられていた無生物の名詞の一部が、男性/女性名詞に振り分けられた。なぜそんな振り分けが行われたかというと、無生物や抽象概念を言語で表現するにあたって、それらを擬人的にとらえ、男女のメタファーとして提示する精神の働きが作用した結果ではないかと考えられているんだ」

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写真:i stock/designer491

男性女性の分類の他に単数複数という区別もあって、男性名詞の単数形の語尾はoで終わり、複数形はiで終わるという決まりがある(女性単数はa、複数はe)。あるイタリア人の友人が寿司の話をしていて「ウン・ニギロ(un nighirO」と言って笑わせてくれたことがあった。ウンは「1」、つまり彼は「にぎり1個」と言いたかったのだが、1つだったら複数形のiで終わるのはおかしい、と語尾を単数形oに勝手に変えてしまったというわけだ。

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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