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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

コロンビア人とコーヒーの意外な関係性

SB—iStock

コロンビアと言えば『コーヒー』というイメージを持つ人は多いと思います。

そうです。コロンビアはブラジル、ベトナムに次いで一年に1200万袋(60キロ/袋)ものコーヒーを生産するコーヒー生産大国なのです。

そんなコロンビアですから、さぞかしたくさんのコーヒーを飲むんだろうと思っている人は少なくないのではないでしょうか。

私もコロンビアにくる前はそんなイメージをもっていましたが、実際はそうでもないようです。

今回はコロンビア人とコーヒーについてお話したいと思います。

 

コロンビア人はコーヒーをたくさん飲むのか? 

コロンビアでは日常的にコーヒーが飲まれています。

Kantarの調べによると、コロンビアでは99%の家庭でコーヒーが消費されているそうです。特に今年はパンデミックの影響もあり、自宅でコーヒーを消費する人が増え、今年5月はコーヒーの消費量が30%も伸びたという調査結果もでています。

ひと家庭でコーヒーに使うお金は年間98,336ペソ(2700円)で、1160杯のコーヒーが各家庭で消費されています。更にインスタントコーヒーより粉コーヒーが好まれる傾向にあり、消費の70%が粉コーヒーとのことでした。しかし65%の家庭で粉とインスタントの両方のコーヒーが飲まれているそうです。

たくさんの家庭でコーヒーが飲まれていることは事実ですが、一人当たりの消費量はそこまで多くなく、ヨーロッパでは一人当たり年間12キロものコーヒーが飲まれている国があるのに対し、コロンビアでの一人当たりの年間消費量はわずか2.1キロとなっています。

 

いつコーヒーを飲むのか?

日本ではコーヒーといえば朝に飲むイメージが強いと思います。

生産大国なのだから、朝からガブガブ飲むのではないかと思われがちですが、意外に私の周りでは朝食と共にコーヒーを飲むコロンビア人はほとんど居ません。

コロンビアの食文化は地域によって所々異なりますが、例えば首都のボゴタの朝食といえば、パンとホットチョコレートとチーズ。チーズをホットチョコレートに溶かして食べたりなんかします。私の住むアンティオキア県ではホットチョコレートとアレパ(トウモロコシ粉でできた薄焼きパン)、豆の煮込みと卵と田舎チーズというボリュームたっぷりの朝食が伝統的。近年では欧米化してきたのかトーストとコーヒーという朝食も珍しくはないようですが、どちらかというとホットチョコレートかアグアパネラ(お湯に黒糖を溶かしたもの)の方が飲まれているように感じます。こちらに住むようになってから日本では当たり前だった「朝にコーヒーを飲んでシャキッと!」という感覚は全くなくなりました。

では一体いつコーヒーを飲むのでしょうか?

私の周りでは来客などで人が集まった時や、一息つきたい時なんかによくコーヒーを飲んでいます。コーヒーを片手に友人や家族とおしゃべりするのが、コロンビアでのコーヒーの楽しみ方なのではないかと思っています。飲み方としては、ブラックで飲むよりも砂糖をいれて飲む人の割合が多いのですが、それにはある理由があります。

 

生産大国なのに国民が飲むのは低品質なコーヒー

コロンビアでは至る所でコーヒーを売っています。公園やバスターミナル、なんなら路上でもポットにいれたコーヒーを売り歩いているのを当たり前の光景としてよく目にします。値段はだいたい1杯20円程度で売られており、コロンビア人はバスを待つ間や公園で友達とおしゃべりする時などにそういったコーヒーを買う事が習慣となっています。このコーヒー、コロンビアにお越しの際は一度飲んでみて欲しいのですが、びっくりする程まずいんです。コロンビア人の多くがコーヒーに砂糖をいれる習慣がある理由が、このコーヒーを飲むと分かっていただけると思います。私もこのコーヒーを初めて飲んだとき「コロンビアといえば美味しいコーヒーのはずなのに!」とショックを受けましたが、よくよく考えると生産国ならではの理由がありました。

世界中にコーヒーを輸出しているコロンビア。質のいいコーヒーはもちろん輸出用にまわされます。国内でこのように消費されているコーヒーは、虫食いや未熟などの輸出できない欠陥豆を、近隣のペルーやエクアドールから輸入した豆と混ぜているものなのです。コロンビアで一番飲まれている粉コーヒーのメーカーであるSello Rojoもこういったコーヒーを使って製造されています。

ではコロンビアでは美味しいコーヒーが飲めないのでしょうか?いいえ、コロンビアには新鮮で日本で飲んだことないような美味しいコーヒーを提供してくれるカフェがたくさんあります。そういったカフェは観光客が多いエリアに集中しており、値段も1杯100円ほど。日本人の感覚からするととても安く感じますが、20円のコーヒーに慣れているコロンビア人からすると高く感じるのか、なかなか現地の人には浸透していかないのが現状の様です。

しかし最近では日本でいうサードウェーブのようなオシャレなカフェもたくさんできてきました。若者がSNSにオシャレなコーヒーの写真を投稿したり、コンピューターを持ち込んでカフェで作業をしたり、という光景もよく目にします。バリスタがテイスティング方法や様々な抽出メソッドを教える講習などを定期的に行っており、どれも現地の若者に人気のようです。

日本ではスターバックスの進出をきっかけにコーヒー文化がガラッと変わりました。進出以前はコーヒーといえば喫茶店のイメージが強かったのが、オシャレなスターバックスが日本にはいってきたことでイメージが一新したのです。コロンビアでも同様な変化が起こっているのか、若者を中心に20円コーヒーからオシャレなカフェのコーヒーに移行していっている様な印象をもちました。コーヒー生産者として、これからおもしろくなっていくであろうコロンビアのコーヒー産業の動きに注目していきたいと思います。

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Yogi-Studia-iStock
 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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