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魅惑の摩天楼、香港フォト通信

マリエ|香港

「おっさんずラブ」も駄目なの? 検閲強化で閉塞感が漂う今の香港

(筆者撮影)

■まずは香港のコロナ近況

香港は海外からの持ち込みケースをのぞいて約40日間、市内感染者がまったく出ていない。

海外から香港に到着しPCR検査で陽性であれば即刻病院行き、陰性であれば21日間、政府指定のホテルで隔離が義務付けられている。隔離中にホテルの部屋から一歩でも出たら即刻強制隔離キャンプ行き。香港政府の徹底した水際作戦は世界でもかなり厳しいほうだが、だからこそコロナをこれだけ食い止めている。

先日書いたご褒美作戦でワクチン接種率は上がるのか、その後どうなったでしょう?無料で何かが当たるのが大好きな香港人の心をつかんだのだろうか、なんとワクチン率は長いこと20パーセント台で停滞していたのが40パーセント台に急上昇、香港政府悲願の70パーセントに届く展望が開けてきた。

<リンク:https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/marie/2021/06/post-11.php

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<香港のワクチン状況のサイトはこちら→https://www.covidvaccine.gov.hk/en/dashboard

コロナに関しては全く恐怖感がない香港、しかし別の次元でちょっと怖さと閉塞感が蔓延している。

■さようならリンゴ日報(アップルデイリー)

最後の民主よりの新聞、アップルデイリーが廃刊に追い込まれたのは世界中で報道された。

ニューズウィークは「最終号の見出しは『雨の中のつらい別れ』 蘋果日報(アップルデイリー)廃刊」という見出しの記事を書いている。

記事の中で「今後、こうした締め付けは、芸能や学問の世界にも及びそうだ」とジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)は述べている。

実際その通りで、香港で上映される全ての映画、美術館の展示物、ブックフェアで出品される本の内容にまで検閲が入るようになっている。

アップルデイリーの次に矛先が行くのは立場新聞(英語名:Stand News)であろうと報道されている。

『立場新聞はもう生き残れないだろう』とは香港市民なら誰もが感じている事だ。

地殻変動が起きている香港、今回は日本のメディアでは取り扱われていない小さな事件だけれど、
香港市民に『え!ここまでやるか』『これもだめなの?』と驚嘆させた出来事を2つ紹介しようと思う。

■『通報!物干し竿にタブーの旗がかかってます!』

6月21日、モンコックのあるマンションの一室の洗濯物を干す竿に旗がかけてあると警察に通報が入った。

急遽、警察官20人体制で一室に立ち入り直ちに旗を干した40代の男性が逮捕された。

今の香港では絶対に口にしてはならない『時●●●』"香港に自由を""香港の分離"を意味する4文字スローガンの旗を物干し竿につるしていたからだ。

分裂行為、独立思想を取り締まる国案法に抵触するので即逮捕である。

旗一つに警察官20人が一挙に突入するというのも怖い。警官20人体勢といったら普通、凶悪連続殺人犯逮捕とかじゃない?

でもこれが今の香港。そのぐらい絶対に言ってはいけない言葉なのだ。

<ソース:https://hongkongfp.com/2021/06/22/over-20-police-deploy-to-arrest-man-for-alleged-sedition-over-hong-kong-protest-flag-outside-window/

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■「おっさんずラブ」? 駄目です、国安法に触れますね

田中圭、吉田鋼太郎主演のゲイのカップルを描いた日本のドラマ『おっさんズラブ』は香港で放映され、映画版も公開され大人気を博した。

この人気に目をつけ香港版のおっさんずラブが製作され香港のテレビ局ViuTVにて6月から放映開始。たちまちスーパーヒットとなり先日の最終回に視聴者は釘付けになった。
香港リメイク版のタイトルは「大叔的愛」。

香港リメイク版は今秋日本でも放映、ネット配信される予定だ。

こちらで社会現象ともなった香港版おっさんずラブ人気が香港での同性愛の容認度を上げたという世間の見方に、キャリーラム行政長官はどうも面白くないようだ。おっさんずラブ現象に対して『依然として香港では同性愛問題は賛否両論であるが、ゲイへの差別、悪意に満ちた言葉を放ったりは決して容認されるものではない。しかしながら香港ではゲイに法的地位を与えるかのコンセンサスは依然として無い』と発言。

さらに『私自身はおっさんずラブを見たことはない。それよりも人民解放軍のロケット軍兵士のドラマをおすすめするわ』と付け加えた。

さらに香港の親中派議員Junius Hoは『ゲイを奨励するおっさんずラブは中国の3人っ子政策にそむいており、国安法違反である』と糾弾。

<ソース:https://news.rthk.hk/rthk/en/component/k2/1601676-20210720.htm

なにがなんだかわからない。おっさんずラブも国安法に絡めちゃうの?

■香港の今後

おっさんずラブは国案法に違反するとは決まったわけではない。ならないとは思うが大きな意味を含んでいるかもしれない。

国案法が施行されてから国安公署が出先機関として香港に存在するようになった。今の香港はメディアの徹底管理、統制に目が行っている。くすぶっている火種(民主寄りなメディア)が消された後、今度は絶えず何かしらの矛先を国安法に絡めて見つけて来るかもしれない。そうならないで欲しいと願っている。

コツコツコツ、国安法のお通りだ~。そんな足音が聞こえる。

 

Profile

著者プロフィール
マリエ

香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。

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