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カリフォルニア法廷だより

伊万里穂子|アメリカ

多民族文化と名前の問題

Meteamorworks-iStocks

大統領就任式は無事に終わり、裁判所も焼き討ちにあうこともなく、大変静かな平常に戻りました。

私と同じく有給を取って様子見していた同僚と就任式の当日、裁判所全然燃えてないし。。。っていう事は明日仕事行かなきゃいけないって事じゃん、とメッセージをしてため息をついていました。彼女はデスクの上の結婚式の時の写真立てなどを自宅に持ち帰るという用心深さで、裁判所は焼き討ちにあう、と決め込んでいたため、少しガッカリしました。

お騒がせしました。

今日はビジネスメールのお話。

最近仕事のメールの署名で良く見かけるようになった

(pronouns she/her)というもの。その人の名前の後に書かれている事が多く、何かな?と思っていましたが、これは送り主の性別を知らせるものでした。名前だけじゃ女か男か分からない、という場面はこれまでも何度もありました。

ビジネスメールでは

Dear Sir or Madam:と大括りにして出しますが、相手の名前が分かっているのにそういう出し方はかえって失礼にもなるし、どっちなんだろう。秘書だからといって女と決まっているわけじゃないし。と困ります。そこで名前の後ろに(pronouns she/her)と書いてあるのを見れば、あ、女の人なので、じゃあMiss/Madam と安心して返信できるわけです。失礼のないように。

これはベトナム人やインド人の名前だと全く性別不明で見当もつかないので、本当にありがたい配慮です。そしてそんな広まりの中、白人のどう考えたって女の子の名前だよね、それ?という名前の後ろにつけている同僚の子がいたので、何流行りに乗って自分も?ってつけてんの?どう見たってブリットニーは女の子の名前やん?と聞いたら、女の名前であってももしかしたら、自分を男性と思っている人もいるから、そいういう人も使っている、というのです。例えばMark という名前でどう転んでも男性だろ、と思いますが、その後に(pronouns she/her)とつけておけば、あ、そうなんだ。自分を女性として扱って欲しいのね、という発信ができるのです。

何だか移民が多くて名前がジェーンとジャックじゃなくなって、わけわからないから、と始まった事に今度は性同一の方も混ざって何だかややこしい事になっています。

日本でも薫さんはどっちかな?と思うし、今流行りのキラキラネームが社会人になる頃には日本でもこんな表示が当たり前になるのかもしれませんね。

 

Profile

著者プロフィール
伊万里穂子
大学中退後カリフォルニアに移住。海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「リフォルニア法廷毒舌日記で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書

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