World Voice

カリフォルニア法廷だより

伊万里穂子|アメリカ

法廷とコロナ

(筆者撮影)

みなさん初めまして。カリフォルニアの裁判所で書記官として働いている伊万里穂子です。

毎日法廷内で繰り広げられる人間ドラマを18年見続けています。

無料で人間ドラマを見せてもらった上にお給料まで頂けて、しかも苦手なお客様サービスはお客様が半数以上犯罪者という事もあってサービスの期待値の設定が低めなので今までなんとか続いています。

今日も傍聴席にいます、を毎日体験できてお給料が頂けるなんて有り難い事です。

勤めはじめた頃は毎日が聞き取りテストの様な感じで緊張していましたが、今は少し余裕を持って案件を見聞きできるようになりました。

今日はそんな法廷とコロナの今現在をお伝えします。

私の勤務する裁判所は郡の中に数箇所裁判所を構えています。私が勤務しているのは本店です。

その本店の事務所で事務官がコロナ陽性になりました。シングルマザーで窓口勤務の人です。勿論その事務所に書類を渡しに日に数回出入りする私も芋づる式に自主隔離。

一週間お休みです。翌日検査を受けて陰性判定をもらいましたが来週まで隔離です。

私は法廷内での勤務で今弁護士は皆リモートで出廷するのであまり人と関わる事がないので比較的安全だと思います。気の知れた仲の良い同僚数名と毎日ランチを食べる事の方がきっと危険だろうと思います。

私の務める裁判所は州の予算が削減され、ジリ貧になったので、レイオフと給料カット、勤務時間の短縮などをして、今現在コロナ前より30%減の職員で仕事をしている状態です。なので窓口で待つ時間は今まで30分で済んでいた用事が半日かかるという感じです。並ぶのも2メートル置きに床に貼られたシールの所で待ちます。間が開くので列がとても長いように見えて、市民のイライラ度はMAXです。ディズニーランドのようにここから30分とか立札すれば、という私のアイディアは却下されましたけど。。。

三月に郡全体がロックダウンになっても裁判所はエッセンシャルビジネスとして扉を閉める事はしませんでした。

コロナ禍であろうと人種差別のデモがダウンタウンで起きて暴動になっても毎日通常運転でした。

フルサービスではなく短縮したサービスではありましたが、毎日開いていました。

ただ大人数集まる陪審員裁判などはソーシャルディスタンスにムリがあったのでしばらく中止していました。

今は様々な処置をして陪審員裁判も少しずつ再開しています。

一週間に一法廷しか陪審員裁判はできない、一度に法廷に入れるのは20人(コロナ前の店員は90名でした)なので数グループに分けて説明を行う、という何度も繰り返さなくてはいけないので時間が以前の4倍位かかりますが、それでもなんとか陪審員裁判はやっています。

陪審員が12人まとまって座るJury Boxは現在は4人しか座れないので残りは法廷の残りの一般傍聴席に離れて座ってもらっています。

法廷内もアクリル板でなるべく安全なようにしてあり、裁判所に入るにはマスクをしていないと入れません。

というわけで以前のいわゆる役所仕事なレベルから数倍酷い役所仕事になっていますが、一応開いています。

(以下筆者撮影)

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Profile

著者プロフィール
伊万里穂子
大学中退後カリフォルニアに移住。海外で手堅い職業をと思い立ち公務員に。裁判所の書記官になる。勤続18年目たった一人の日本人書記官として奮闘中。ブログ「リフォルニア法廷毒舌日記で日々社会の縮図とも言える法廷内で繰り広げられる人間模様を観察中。著書:「お手本の国の嘘」新潮新書

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