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平野美紀|オーストラリア

全豪を成功させた主催者が語る東京五輪への懸念

テニス4大大会のひとつ、全豪オープン開幕準備中のメイン会場「ロッド・レーバー・アリーナ」(2019年大会にて。筆者撮影)

大坂なおみ選手の2年ぶり2度目の優勝と、ノバク・ジョコビッチ選手の3年連続9回目の優勝で閉幕し、成功を収めた全豪オープン テニス2021。新型コロナウイルスの影響で開幕が例年より約1ヶ月遅れ、開催前は選手ら来豪する関係者への厳しい検疫措置が話題となった。

もちろん、州民の健康と安全が第一ではあるものの、メルボルンは、全豪オープンだけでなく、F1グランプリなど、多くの国際及び国内イベントを開催する都市でもあるため、州経済への影響は大きい。これらが開催できるか否かは、ある意味、死活問題でもある。

コロナ禍で観客を入れて開催する国際スポーツ大会成功の鍵は、どのようなものだったのか?
また、この成功で、東京五輪のモデルケースになるとする声に対し、大会責任者が伝えた懸念とは?

大会途中でロックダウンになるも、再び感染拡大を抑制

このコラム・シリーズでも取り上げてきたように、開催地メルボルンは一時感染拡大し、豪国内で唯一、州全域でこれまでに2度のロックダウンを経験した。その厳格なロックダウンは世界的に大きく取り上げられたりもしたが、それを克服し、ゼロコロナを達成したことで、この全豪オープン開催にこぎつけたといえる。

大会6日目に、メルボルンで再び新規感染ケースが確認され、クラスターとなったことから、州政府は州全域で5日間のサーキット・ブレーカーと呼ばれる短期集中厳格ロックダウンを決定。ロックダウン期間中、大会は無観客となったが、再び感染ケースが0となって拡大懸念が薄らいだことで、予定通り5日間で解除となったため、その後の試合は、観客数を50%までに制限することで、再び観客を入れて大会を進めることができた。

この5日間の無観客試合と(もともとコロナ対策として人数制限が課されていたものの)更なる人数制限は、大会側にとって大きな痛手となったことは否めない。しかし、それよりも何よりも、選手や関係者、観客など、大会を支えるすべての人たちの健康と安全を優先した結果であり、また、クラスターがでてもすぐに抑え込めたのは、一旦「ゼロコロナ」にしたことで感染経路追跡が容易になったことが大きい。

女子シングルス決勝は、メイン会場となっているロッドレーバー・アリーナに7,381人のファンが詰めかけた。

コロナ禍での大会開催を成功へと導いた厳しい対策

全豪オープン開催に当たっては、大会側が州政府と共に慎重に対策プランを検討。来豪する選手ら関係者への厳しい検疫隔離が話題となった。その内容は主に次のような感じだ。(参照

1.現地出発までの72時間以内にPCR検査をし、陰性を証明すること。
2.来豪する選手を含む関係者は、基本的に大会側が用意するチャーター便(1便につき75名に制限)にて来豪すること。
3.全来豪者は、到着後、直ちに14日間のホテル検疫隔離となる。
4.到着後の隔離期間中は、基本的に3日目と11日目に検査を実施。ただし、練習を必要とする選手と指名トレーナー1名は、隔離期間中、毎日検査を実施。
5.上記、練習に参加する2名は、陰性であれば隔離期間中であっても外出禁止は2日間のみとし、残りの期間中は、ホテルと練習場のみの行き来と5時間の練習時間が与えられる。
6.万が一、搭乗便に1人でも陽性者が出た場合は、同機に搭乗していた全員が14日間完全隔離となり、ホテルから一切の外出が禁じられる。

これらの条件をクリアできず、出発までの72時間以内のPCR検査で陽性となってしまったアンディ・マレー選手のように出場を断念せざるをえなくなったり、チャーター便搭乗者に陽性者がでたために、同じ便に搭乗していた錦織圭選手らを含む、47選手が外出禁止となり、練習ができなくなったりもした。(参照

また、多くの選手から隔離ホテルでの生活に苦情が殺到し、ノバク・ジョコビッチ選手が隔離期間短縮を含む改善を要求したが、州政府及び大会側は「特別扱いはしない」と却下したことも話題となった。(参照

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Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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