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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

911から20年がたったのだが当時、私が書いたマガジンを再公開

©iStock

私が2000年から綴っていたHarlem日記というメールマガジンから、2001年9月11日の抜粋。
現在Harlem日記は廃刊中なので、公開しておりません。

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 号外 第百十九号09/11/2001
      Harlem日記
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*****ワールド・トレード・センター崩壊!*****

2001年9月11日9時すぎ、ツインタワーとして親しまれていたワールド・トレード・センタービルが崩壊した。まさかこんな大惨事が起こることを誰が予想し得ただろう。

朝からニュースではツインタワーの燃えてる模様が映し出され、映画じゃない、本物だと思うと心臓がバクバクした。こんなことが・・・本当に起こってしまうなんて。

友人と、ビルの様子を見ようとハーレムのマーカスガーベイパークの丘に登り、白い煙が立ち昇ってるのを見た。ドレッドヘアのジャマイカンの兄さんとアメリカンブラックの兄さんも同様に惨事
を見に来たのか、ニューヨークポスト<新聞>を片手に会話中だった。

「まだ煙が上がってるね。とにかく、凄いことになってしまったね」と兄さんたちに話しかけると、ニューヨークポストを手にした一人が、

「きっと前大統領のクリントンは中東の人たちと、きちんと交渉してたから、こんな事件が起きなかったんだ。ブッシュは威嚇されてるのに話を聞かなかったに違いない。『爆破するぞ!』って脅かしてるのに聞かなかったから、見せしめに飛行機を突っ込んだんだ」と険しい顔をした。

125丁目のクリントン元大統領のオフィスがあるビルも閉鎖され、125丁目も通行止めになり、通りの店はシャッターを閉じて休みの日みたいに閑散としていた。

Candlelight Lounge<今はすでにクローズしているバー>に行くと、ハーレムのお年寄りもビール片手にニュースを見ていた。隣に座っていた爺さんと話す。

「とにかく凄いことになった。これは世界的規模で大問題だ」彼はABC<アメリカのテレビ局>にビデオ・エンジニアとして勤めてたこともあるらしく、政治について語りはじめた。

「ブッシュになった途端にこれだもの。父親が大統領の時も問題ありありだったのに、アメリカ人は、なぜ彼を選んだのかって不思議だったんだ」と私。

「奴は選挙で選ばれた男じゃない。フロリダの投票問題でごちゃごちゃしてるうちに大統領の席を確保した奴なんだ。彼は世界との交渉なんてできやしない」ビールをぐびりと爺さんが飲んだ。

「それにしても、こんなことになったらアメリカは戦争起こすね。戦争したほうがいいってアメリカ人は思うのかな?」

「アメリカの国民は戦争なんてやりたくない。ただ、今までアメリカ人はいつでも自分たちに被害が及ぶことがなくて、傍観者だった。よその国で戦争が起こっていたって、アメリカの軍人が他の国に戦争に行ってても、アメリカの国民は葉巻をふかして、レストランで美味しいもの食べて、酒飲んで、パーティー三昧。他の国の惨状なんて、どこ吹く風だったのさ。こんな身近で大惨事が起こってパニックになってる。とうとう自分たちが被害者になる時が来たんだ」爺さんは続けた。

「とにかく、世界と交渉する技術が欠けているんだ。よその国の話を聞かないといけない、対話しなくちゃいけないのにね」爺さんは、深く息を吐いた。

ハーレムの爺さんや婆さんもニュースから目が離れない。穏やかではいられない様子が伝わってきた。

ミッドタウンのオフィスにいた友人は、二機目の飛行機が突っ込む時に爆破の模様が見えたけど、辛くて直視できなかったという。

ワールド・トレード・センター付近で働いてる友人の無事は確認してが、夕方に電話してみた。
「僕等のビルは、大丈夫だったけど、遅刻しなくてよかった。わりと遅刻することがあるんだけどさ。遅刻すると、ぶつかった時間くらいにツインタワーの横を通るんだよね。ガラスの破片とか色々なものが落ちてきたみたいだよ」

「てっきり、あんたも避難させられてバッテリーパークあたりまで走ったのかと思ってた。粉塵とかで真っ白になりながらさ」と私。

「バッテリーパークなんて風下じゃん。みんなブルックリンの方へ逃げてたみたいだよ。アメリカは、ビル内に事故の放送が流れるけど、誰かが誘導して『避難しなさい』なんてことは無いよ。自分自身が出ようと思った人は出るし、各自の判断。僕等はテレビ見ながらオフィスに居たんだ。あっという間に二機目が衝突してビルが潰れちゃったから、今から出ても粉塵に巻かれるだけだって、僕等は静まるまでビルの中にいたんだ。

救急車や消防車も一機目がぶつかった時には来
てたけど、2機目の時には近づけない状態になっちゃって。今も燃えてるから、誰も近づけない。100階以上もあるビルから降りてこようなんて、エレベーターも使えないし、人が階段下りるだけで1時間以上かかっちゃう。多分、かなりの人が逃げきれてないね。外に出たら雪山みたいに真っ白だしさ、交通は全てストップしてたから、ミッドタウンの自宅まで歩いて帰ってきた。いつオフィスに行けるのか、今のところはわからない」

夕方のニュースでは、戦争になることをほのめかす暗いコメントばかり。アメリカ側にしてみれば、こうなった以上、戦争を引き起こすことは避けられないのかもしれない。しかし、戦争によってビルの崩壊以上に多くの被災地が、被災者が出ることを知っていてほしい。

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再読してみたら、あれから20年たった今もアメリカってたいして何も変わってないんだなぁ〜って気がした。フロリダの投票数で大統領が決定するってくだり、つい最近も聞いたような。。。

もっと辛い記事も書いていたけど、ニューヨーク在住者は、当時を思い出して辛くなる方がたくさんいると思うので、掲載をやめておく。

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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