最新記事

オペラ

「カルメンはパンセクシュアルだと思う」 バイセクシャルのオペラ歌手ジェイミー・バートンに聞く

“I’m So Proud to Be Doing It”

2019年10月18日(金)17時40分
ニューズウィーク日本版編集部

オペラ・メンフィスの舞台で『ボナペティ!』に出演(2013年) SEAN DAVIS

<ロンドンの大舞台で圧巻のパフォーマンスを見せたアメリカ人オぺラ歌手ジェイミー・バートンがバイセクシュアルとしての誇りと歌手としての夢を語る>

BBCプロムスといえば、ロンドンで毎夏8週間にわたり開かれるクラシック音楽の祭典。9月の第2土曜日に開かれる「ラスト・ナイト」は、その最 後を飾るコンサートで、「威風堂々」や「エルサレム」など「大英帝国万歳」的な曲で締めくくられるのが恒例だ。

今年はその独唱者にアメリカ人のメゾソプラノ歌手ジェイミー・バートン(37)が起用された。バートンはLGBTQ(性的少数者)の中でも、バイセクシュアル(両性愛者)であることを公言している人物。それだけに、彼女の伸びやかな歌声だけでなく、アメリカ人とLGBTQという2つのアイデンティティーをどのように表現するかが大きな注目を集めていた。

コンサートの終盤、英国賛歌メドレーの口火を切る「ルール・ブリタニア」で、バートンはバイセクシュアルのシンボルカラー(ピンク、紫、青の3色)をモチーフにしたドレスで登場。観客が英国旗を振るなか、LGBTQのレインボーフラッグを振って大歓声を浴びた。

carmen02.jpg

BBCプロムスにバイセクシュアルを象徴するドレスで登場したバートン CHRIS CHRISTODOULOU

アメリカに戻ったバートンは10月20日からニューヨークのメトロポリタン・オぺラで『オルフェオとエウリディーチェ』に主演する。それも、死んだ妻を黄泉の国から連れ戻すオルフェオ役だ。バートンのバイセクシュアルという個性は、オぺラのストーリーさえ変える。

果たしてバートン自身は、プロムスの大役にどのような意気込みで臨んだのか。スレート誌のジューン・トーマスが、プロムスの舞台を控えたバートンにロンドンで話を聞いた。

――オペラの世界はLGBTQに寛容なことで知られる。

クラシック音楽の世界全般が何世紀も前からそうだった。私がこの世界に心のよりどころを見つけたのも、それが大きな理由の1つだったと思う。すぐに自分と同じ(LGBTQの)人を見つけることができた。カミングアウトしたのは比較的最近(2014年)だが、とてもスムーズにできたし、不安はほとんどなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    【ヨルダン王室】ラーニア王妃が「公務の姿勢」を大…

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 1

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 2

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    ロックンロールの帝王を捨てた女性の物語、映画『プ…

  • 1

    キャサリン妃とウィリアム皇太子の「ご友人」...ロー…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    メーガン妃は「努力を感じさせない魅力がお見事」とS…

  • 4

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 5

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:老人極貧社会 韓国

特集:老人極貧社会 韓国

2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる