コラム

「お疲れさまでした」1人の中国人から、安倍前首相へ

2020年09月30日(水)11時55分
周 来友(しゅう・らいゆう)

もちろん政治体制が大きく異なる両国の政治家を単純比較はできないが、自国の政治家がひど過ぎるため、中国人には日本の政治家がましに見える。私腹を肥やし、愛人を囲い、海外の銀行にお金をため込む。それが中国の政治家なのである。全人代(全国人民代表大会)の代表(日本の国会議員に相当する)の3分の1から半分は、いざというときのため、外国籍を持っているという噂もあるくらいだ。

そんな訳で日本の政治家は中国で高く評価されるが、その中でも安倍さんは本当によくやったのではないだろうか。

異なる意見があることは承知している。私の安倍評に反対し、「モリカケ、桜を見る会、安保法、歴史修正主義......」などの問題を列挙した日本人の知人もいる。また、安倍さんが辞任早々、靖国神社を参拝したことは大きく取り上げられた。それでも私は第2次安倍政権を生んだ日本の政治体制を羨ましいと思う。

そしてもう一つ。私としては、安倍さんが病気をきちんと治し、もう一度首相をやってくれることを願っている。安倍さんはきっと、鄧小平のような老練な政治家になれるはずだ。私に言われても余計なお世話かもしれないが、あくまで「個人の見解」なので、悪しからず。

Zhou_Profile.jpg周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。

<2020年10月6日号掲載>

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