最新記事

韓国

韓国の繁華街、外国人旅行者に依存してきた明洞は一人負け

2021年8月19日(木)18時00分
佐々木和義

その一例が、21年1月に閉店したユニクロ明洞中央店だ。明洞駅の出口に隣接した明洞地区のランドマークともいえる韓国ユニクロの旗艦店だったが、ユニクロは韓国全土で160店舗以上を展開しており、居住者が旗艦店を利用する必然性はなくなっている。

弘大は新進トレンドが集まっており、梨泰院は外国文化が並んでいる。日本料理や中華料理、ベトナム料理は各地にあるが、他の国の本場料理は多くが梨泰院でのみ味わうことができる。2つの繁華街は、その場所に行かないと出会うことができないアイテムがある。

明洞は韓国各地にあるアイテムが並んでいる上、値段も高い。外国人対象の「ぼったくり商圏」という認識から明洞を避ける人たちもいる。

1 APC_0111.jpeg

閉店が相次ぐ明洞のメイン通り 撮影:佐々木和義


在韓日本人の集まりでも日本からの来訪者と一緒に明洞を訪問したとき、案内するどころか、むしろ旅行者に案内してもらったという話がたびたび出るほど、居住者にとっては無縁といって良い街である。日本や中国との往来の中断で賑わいが消えた明洞を市民が訪れる理由はない。

明洞のホテルも休廃業が相次いでいる。韓国のホテルは設備等を基準に1つ星から5つ星までランク付けがされている。最高級の5つ星ホテルは、レストラン利用者やホテル・バカンスを楽しむ層を取り込んで生き残りを模索するが、日本人や中国人観光客の宿泊に依存してきた3・4つ星級ホテルは多くが休業中となっており、営業を終了したホテルもある。

オフィス街がある江南や鐘路など、在宅勤務が増えているとはいっても、多くの人々が出勤している。固有のアイテムがある弘大や梨泰院はニッチ層が戻っている。外国人旅行者に依存してきた明洞は一人負けといって良い状況なのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、1─3月期は予想下回る1.6%増 約2年

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中