最新記事

アメリカ政治

米大統領就任式を前に州兵の戦闘用車両「ハンビー」が盗難

Armored Military Humvee Stolen In California, FBI Search Underway

2021年1月18日(月)14時54分
ハレダ・ラーマン

カリフォルニア州の州兵施設から盗まれたのは、特別に装甲を強化した戦闘用ハンビーだ FBI

<首都ワシントンや全米50州の州都では過激派の「武装デモ」やテロへの懸念が高まるなか、FBIは懸賞金付きでハンビーを追っている>

大統領就任式を前に暴動などへの懸念が広がるアメリカで1月15日、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外にある州兵の施設から装甲が強化された軍用車両ハンビーが盗まれる事件が起きた。

このハンビーは戦闘用で、事件を捜査しているFBIによれば12万ドルくらいの価値があるという。

FBIは車の特徴や車体につけられた登録番号などを公開して車の行方を追っている。発見につながる情報には1万ドルの懸賞金がかけられている。

FBIによれば、軍施設からの窃盗は連邦法に触れる行為で、最大で連邦刑務所での禁固10年の刑に処せられる可能性があるという。

捜査を担当しているのはFBIロサンゼルス支部の重大窃盗事件班で、地元警察やカリフォルニア・ハイウエー・パトロール、ロサンゼルス郡保安官事務所の支援を受けているほか、州兵も協力している。

アメリカでは6日、ドナルド・トランプ大統領の暴徒化した支持者たちがワシントンの連邦議会に乱入する事件があったばかり。この日、連邦議会ではジョー・バイデン次期大統領の当選を正式に確定する上下両院合同会議が開かれていたが、議員たちが一時避難する騒ぎとなり、警官1人を含む5人が死亡した。

暴力事件の計画示す「ネット会話」も

事件を受けて下院は、「反乱を扇動」したとしてトランプを弾劾訴追する決議案を可決。トランプは2度にわたり弾劾訴追されたアメリカ史上初の大統領となった。

事件の後、20日のバイデンの大統領就任式に向けてワシントンが過激派の標的になるのではとの懸念が高まっている。

AP通信によれば、武装集団の襲撃や、いわゆるソフトターゲットに対する爆破テロからワシントンを守るため、就任式に向け全米から2万5000人以上の州兵が集められる。

一方で、全米各州の州都における暴力事件への懸念も高まっている。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は14日、重要施設や州都サクラメントを守るため州兵1000人を動員すると明らかにした。

「わが国の首都(ワシントン)で先週起きた事件にかんがみ、カリフォルニア州は州都および州全域における公共の安全を守るための重要な措置を取っている」とニューサムは声明で述べた。「州作戦センターは連邦や州、地域の捜査当局と連携し、ああした恥ずべき行為がここで繰り返されることのないよう、脅威を評価し情報を共有している」

FBIによれば、大統領就任式前後に暴力的な事件が計画されていることを示唆する「インターネットでの会話」があったという。FBIは20日までにワシントンおよび全米の50州の州都で複数の集団が武装デモを行うと見られるとの注意喚起を何度も行っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中