最新記事

新型コロナウイルス

年明けのアメリカを待ち受けるコロナ「暗黒」フェーズ

US Sees Busiest Day of Airport Travel Since Pandemic Began as One Million Screened by TSA

2020年12月25日(金)14時15分
ナタリー・コラロッシ

CDCは休暇シーズンの移動を控えるように呼び掛けているが…… Carlo Allegri-REUTERS

<移動自粛の呼び掛けにもかかわらず23日には全米で100万人以上が空港を利用>

クリスマスを直前に控えた今週23日、全米各地の空港を利用した旅行客数は100万人を超え、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した今年3月以降では最高を記録した。

米運輸保安局(TSA)の最新データによると、23日に全米各地の空港の保安検査を通過した旅行客は119万1123人だった。この数字は、感謝祭後の日曜だった11月29日の117万人を超えて、感染拡大後では最高となった。

またクリスマス前の先週末には合計300万人が保安検査を通過し、週明け火曜の22日も99万2167人が空港を利用した。

アメリカでは現在、国内全域で新型コロナの感染者数、死亡者数が増加している。米疾病予防管理センター(CDC)や公衆衛生の専門家は、休暇シーズンの人々の移動が感染をさらに拡大させる恐れがあると警鐘を鳴らしている。

23日には、全米で22万7522人が新たに感染し、コロナ患者の少なくとも3411人が死亡した。また入院患者数も過去最高に達した。米誌アトランティックの「コロナ追跡プロジェクト」によると、24日時点で過去最多の12万0151人のコロナ患者が入院して治療を受けている。

また過去7日間の新規感染者数の1日当たりの平均は21万3472人で、2週間前の平均より2%増加した。今週20日までの7日間の1日平均の死亡者数は過去最高の2628人となった。

しかし公衆衛生の専門家らは、最悪の事態はこれからやって来ると言う。

新規感染者が現在の3倍に

ワシントン大学保健指標評価研究所では、来年1月1日には新規感染者数が、現在の平均の3倍近い61万4367人程度にまで増加すると予測している。

さらに「米政府が感染抑制策を講じず、ワクチン配布が拡大されなければ」、1月10日までに1日当たり100万人の新規感染者が出るようになると予測している。

今月本誌の取材に応じた、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、アメリカの感染拡大が過去最悪のレベルに達して「1月はひどい状況になる」と警戒している。

「感謝祭とクリスマスの感染が重なって1月はひどい状況になる。アメリカは最悪の事態を迎えると考えられる」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国

ビジネス

3月過去最大の資金流入、中国本土から香港・マカオ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中