最新記事

2020米大統領選

バイデン勝利にラティーノ票の不安 民主党がハートをつかみきれない訳

THE FIGHT FOR THE LATINO VOTE

2020年10月16日(金)17時15分
エイドリアン・カラスキーヨ(本誌政治担当記者)

magw201014_Biden2.jpg

2016年の大統領選でクリントンはラティーノの支持を得たが敗北 JOE SOHM-VISIONS OF AMERICA-UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

バイデン陣営はラティーノ社会への訴求に「歴史的な」金額を投じたとしているが、具体的な金額は明らかにしていない。しかしバラク・オバマ前大統領の下で働いていた人材を含め、多くの中南米系スタッフを雇い入れ、しかも重要な地位に就けている。

その1人がロドリゲスだ。彼女はメキシコ系の労働運動指導者で今も敬愛されているセサール・チャベスの孫娘。ラティーノ票を掘り起こす切り札として、5月になってバイデン陣営の選対副本部長に抜擢された。一方で古参のアレックスは、バイデン陣営に接触してくる多くの中南米系指導者とのパイプ役を務めているようだ。

トランプ離れが起きない理由

「ラティーノ票なくして勝利はない。だからその掘り起こしに全力を傾け、バイデンは私たちのコミュニティーの味方だと訴えている」とロドリゲスは言う。「主要な激戦州ではラティーノを動かせるスタッフを雇い入れたし、ノースカロライナやミネソタ、ネバダではラティーノ向けの有料広告を強化している」

対するトランプ陣営は、今さらラティーノを味方に付けなくていい。少しでも既存の支持を増やせれば、それでOKだ。9月1日に電話会見した陣営幹部のジェーソン・ミラーによれば、トランプはラティーノ票の40%を獲得できる見込み。これは2004年に再選を果たしたジョージ・W・ブッシュに匹敵する数字だ。

それに比べて、バイデン支持は盛り上がりを欠く。NBCニュース/ウォールストリート・ジャーナル/テレムンド・ネットワークによる9月13〜16日の共同調査では、ラティーノのバイデン支持は62%にとどまった(トランプ支持は26%)。4年前のヒラリー・クリントンは投票日直前の調査で、ラティーノ有権者に限ればトランプに37ポイントの差をつけていた。だが9月15日のCNNの報道によれば、バイデンのリードは28ポイントにすぎなかった。

ピュー・リサーチセンターによると、ラティーノでも有権者の10人に3人前後は保守だ。だから4年前にトランプがラティーノ票の28%を集めたのは驚くことではない。今回は30%台半ばまで行けるとトランプ陣営は豪語しているが、ハードルはかなり高い。典型的な保守穏健派だったブッシュでさえ、2000年に獲得できたラティーノ票は35%、2004年も40%だった。

ラティーノが肌で感じているのは経済的苦境だけではない。彼らの新型コロナウイルスの感染率と死亡率はずば抜けて高い。ピュー・リサーチセンターによる9月の調査で、コロナ危機を大統領選の「非常に重要」な争点としたラティーノ有権者は、全体の平均より10ポイントも多かった。

しかし大々的なトランプ離れは起きていない。2012年の大統領選でオバマはラティーノ票の71%を獲得し、共和党のミット・ロムニーの27%に大きく水をあけたが、現時点でそこまでの差は見られない。2018年の中間選挙でも民主党はラティーノ票の69%を獲得したが、バイデンの数字はその水準に達していない。

ニュース速報

ワールド

北朝鮮、対米関係で対話と対立双方に備えを─金総書記

ビジネス

英小売売上高、5月は前月比-1.4% 予想外の減少

ビジネス

気候変動関連の資金供給、情勢変化に柔軟対応が可能=

ワールド

中国発改委、石炭価格を調査 投機を取り締まりへ

MAGAZINE

特集:ルポ 武漢研究所のウソ

2021年6月22日号(6/15発売)

新型コロナウイルスの発生源と疑われる中国の研究機関は危険な感染実験を繰り返していた

人気ランキング

  • 1

    やっぱり危ない化粧品──米研究で半分以上に発がん性物質

  • 2

    徴用工訴訟、ソウル地裁の却下判決 韓国法曹会は正反対の判決に動揺広がる

  • 3

    中国の原発で放射線漏れの疑い チェルノブイリを彷彿とさせる透明性の欠如

  • 4

    「量子もつれ顕微鏡」が「見ることができない」構造…

  • 5

    コロナ研究所流出説を裏付けるコウモリ動画

  • 6

    K-POPアイドルも逃れられぬ兵役の義務、ファンを絶望…

  • 7

    【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

  • 8

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

  • 9

    国民の不安も科学的な提言も無視...パンデミック五輪…

  • 10

    ファイザーのワクチンで激しい副反応を経験した看護…

  • 1

    4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目指し、どうなったのか

  • 2

    EVシフトの盲点とは? トヨタが「水素車」に固執するこれだけの訳

  • 3

    中国の原発で放射線漏れの疑い チェルノブイリを彷彿とさせる透明性の欠如

  • 4

    デーブ・スペクター「日本は不思議なことに、オウン…

  • 5

    将来の理数系能力を左右する「幼児期に習得させたい…

  • 6

    病院がICUを放棄? 無人の部屋に死体のみ、訪ねた親…

  • 7

    ノーベル賞を受賞した科学者の私が、人生で後悔して…

  • 8

    コロナ研究所流出説を裏付けるコウモリ動画

  • 9

    やっぱり危ない化粧品──米研究で半分以上に発がん性…

  • 10

    歴史に置き去られた世界の廃墟たち...不気味で美しき…

  • 1

    4000回の腕立て伏せを毎日、1年間続けた男...何を目指し、どうなったのか

  • 2

    脳が騙される! 白黒の映像が、目の錯覚でフルカラーに見える不思議な体験

  • 3

    国際交流で日本にきた中国人200人に「裏切り者」のレッテル

  • 4

    デーブ・スペクター「日本は不思議なことに、オウン…

  • 5

    東京オリンピックの前向きな中止を考えよ

  • 6

    武漢研究所は長年、危険なコロナウイルスの機能獲得…

  • 7

    閲覧ご注意:ネズミの波がオーストラリアの農地や町…

  • 8

    【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

  • 9

    ファイザーのワクチンで激しい副反応を経験した看護…

  • 10

    EVシフトの盲点とは? トヨタが「水素車」に固執す…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月