最新記事

感染第2波

スペイン、新学期控えコロナ感染拡大が続く 政府の学校再開計画に批判の声

2020年8月21日(金)11時30分

スペインでは新学期まで2週間足らずとなる中、新型コロナ感染者が依然として増加しており、対面授業再開に向けた政府の計画に子供の親や教師、野党から批判の声が高まっている。写真はバルセロナの学校、3月撮影(2020年 ロイター/Nacho Doce)

スペインでは新学期まで2週間足らずとなる中、新型コロナウイルスの感染者が依然として増加しており、対面授業再開に向けた政府の計画に子供の親や教師、野党から批判の声が高まっている。

政府のデータによると、新型コロナの新規感染者は14日に確認された3月下旬以降最多の7609人でピークを打ち、20日には3349人に減少している。ただ、ここ数週間には減少に転じた後に再び最多を更新する状況となっており、今回の減少がトレンドを示しているとは限らない。

保健緊急警報調整局のフェルナンド・シモン局長は、記者団に対し「望ましい状況ではない」と語った。

野党国民党のカサド党首は、不安が残る中で学校再開を計画しているとしてサンチェス政権を批判。「新学期に子供たちに何が起こるか分かっているスペインの家庭はない。計画性の欠如により、子供たちの教育が妨げられるのを容認してはならない」と述べた。

スペインでは地方当局に学校再開を規制する権限があるが、中央政府は来週、全国的なガイドラインを示す方針だ。

20日に1000人超の新規感染者が確認されたマドリードの当局は対面授業の延期を排除しない姿勢を示した。

保健当局者のアントニオ・ザパテロ氏は、ロイターに対し、「学校再開の日程に関しては慎重を期す必要がある」と述べ、感染状況を踏まえ、学年別での再開などについて検討が必要になるだろうと指摘した。

マドリードの教員労働組合は、安全対策やリソースが不十分だとして、9月第1週目に一連のストライキを呼び掛けている。

スペインの新型コロナ感染者は累計37万人超と西欧で最も多い。死者は約2万9000人。1日当たりの死者は8月に入り約20人と、3月下旬の800人超を大幅に下回っているものの、ロックダウン(都市封鎖措置)が解除される時点の1桁からは増加している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中