最新記事

文化

マオリ語で「陰毛」という名のビール、醸造会社が謝罪 

2020年8月13日(木)18時15分
松丸さとみ

同氏はまた、フルフルという言葉が、一般的に「陰毛」と言う意味として使われていることを知らなかったと認めた。さらに、「オンライン辞書を使うよりも、マオリの人に相談するべきだった」としたうえで、「マオリ文化を侵害したり、盗用したり、マオリの人たちを怒らせたりする意図はなかった」と謝罪している。

商品名は気を付けないと

商品名を付ける際などに、自国以外の言語を使っておしゃれな響きを演出するのは、世界中のメーカーが使っている手法だ。だが気を付けないと、今回の「フルフル」のようにその言語ではとんでもない意味になったり、文化の盗用だと批判されるケースも少なくない。

たとえばコカ・コーラ社が2018年に、ニュージーランドに設置した自動販売機にマオリ語と英語を合わせた言葉をあしらって展開し、話題になったことがあった。

自動販売機には、「Kia ora, mate」という言葉が大きく書かれていた。英イブニング・スタンダードによると、マオリ語の「Kia ora」は「こんにちは」を意味し、英語の「mate」はニュージーランドで挨拶に使われたり、親しみを示したりする言葉だ。しかし「mate」は、マオリの言葉では「死」を意味するという。

つまり、自販機に書かれた文字をマオリ語だけで読むと「こんにちは、死」となる。イブニング・スタンダードは、「マオリ人にチェックしてもらわなかったんだな、と思った」という地元の人の声を紹介している。

日本語に関しては、キム・カーダシアンさんが補正下着ブランドを「KIMONO」と名付け、日本でも炎上した記憶は新しい。カーダシアンさんは結局、ブランド名を変更している。同様に、歌手リアーナさんがプロデュースするコスメブランド「フェンティ・ビューティ」では昨年、赤のアイライナーを発売したが、「ゲイシャ・シック」という商品名だった。そのため、「文化の盗用だ」「差別的だ」と批判が相次ぎ、商品名を変えるに至った

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ビジネス

NY外為市場=円・スイスフラン上げ幅縮小、イランが

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や

ワールド

男が焼身自殺か、NY裁判所前 トランプ氏は標的でな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中