最新記事

欧州

フランス新首相にカステックス氏、マクロン大統領再選見据え立て直し

2020年7月4日(土)13時29分

マクロン仏大統領の内閣改造を前にフィリップ首相が辞任した。パリのエリゼ宮で6月29日、代表撮影(2020年 ロイター)

フランスで3日、フィリップ首相率いる内閣が総辞職した。2022年の再選出馬が見込まれるマクロン大統領は政権を立て直し、有権者の信頼回復を目指す。

マクロン大統領は後任の首相にサルコジ元大統領に近い官僚出身のジャン・カステックス氏を任命した。カステックス氏は55歳。中道右派で、新型コロナウイルス感染拡大抑制策の緩和を指揮した。

カステックス氏は「経済危機はすでに到来している」とした上で、「発展を最優先課題に掲げ、そのための協力方法を確立していく必要がある。国が一丸となってこの危機に立ち向かっていかねばならない」と訴えた。

大統領府の声明によると、新たな内閣が発足するまでフィリップ首相率いる内閣が職務を継続。ルメール経済・財務相が続投するか注目されている。

マクロン大統領による内閣改造の動きは、大統領率いる与党が6月28日の統一地方選で大敗を喫したことを受けたもの。複数の側近によると、次の大統領選挙までわずか21カ月となる中、マクロン大統領は態勢立て直しを図りたい考え。

リスク・コンサルティング会社テネオのアントニオ・バローゾ氏は、カステックス氏の任命について「無名の官僚を起用することで、今後の政策運営を完全に掌握したいというマクロン氏の思惑がうかがえる」と分析した。

複数の政治アナリストによると、マクロン大統領よりも人気があるフィリップ首相を交代させるのは大統領にとって賭けとなる。首相は一連の混乱期に確固たる忠誠を示していたほか、2022年に大統領選のライバルとして浮上する可能性がある。

ただ、マクロン氏の側近らによると、同氏とフィリップ氏の関係は円満だという。フィリップ氏は今後、マクロン氏の支持率回復に協力するとみられている。ある政府幹部は「マクロン氏に対するフィリップ氏の忠誠心が損なわれたわけではない」と強調した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・東京都、3日の新型コロナ新規感染は124人 小池知事「休業要請は慎重に判断」
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新型コロナ、血液型によって重症化に差が出るとの研究報告 リスクの高い血液型は?
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200707issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中