最新記事

事件

韓国激震 常軌を逸した極悪わいせつ動画SNS「N番ルーム」事件の闇

2020年3月24日(火)16時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

今、韓国を震撼させている「N番ルーム」を主宰していた「博士」ことチョ・ジュビン YTN NEWS / YouTube

<今、韓国国民の視線が降り注がれている身の毛のよだつような「N番ルーム」事件とは──>

今、韓国では恐ろしい事件に国民の怒りが集中している。数週間前から韓国の知人のSNSなどを通じて「N番ルーム」と言う単語を頻繁に見かけるようになった。気になり検索してみると、そのあまりにも酷いわいせつ事件の実態に、被害者たちと同じ女性として許せない感情が沸き上がってきた。

これは、ドイツ発のチャット機能に特化したコミュニケーションツール「テレグラム」を使い、秘密裏に行われていた闇わいせつ動画SNSに関した事件である。昨年1月にソウル新聞の取材によってテレグラムを使った児童わいせつ画像共有問題が発覚し、11月にはハンギョレ新聞がこのN番ルームなど闇わいせつ動画SNSの実態をスクープして注目を集めるようになった。

N番ルームでは、自らを「博士」と名乗る容疑者チョ・ジュビンが「奴隷」と呼ぶ女性たちにわいせつ動画を撮影させて受取り、テレグラム上で募った会員たちにレベルに応じてそのわいせつ動画を閲覧させていた。会員はレベル1(会費:20〜50万ウォン)からレベル3(会費:150万ウォン)まで分かれており、さらに会員の中から「博士」が気に入った「職員」と呼ばれる手下の会員数名に「奴隷」女性を強姦させ、その動画を作らせ映像公開させていたそうだ。

博士は、女性たちを高収入アルバイトなどで誘い込み、個人情報を巧みに聞き出したうえで、奴隷へと誘導していった。さらに、彼女たちを脅し動画を撮らせるだけでなく、新たな女性の知り合いを連れてくるように指示。さらにその数を増やしていく手法で、被害女性は74名に上り、その中には16名の未成年者も含まれていた。

10歳未満の少女も被害に

女性たちは個人情報などを盾に取られわいせつ動画の撮影を強いられていたが、それらは普通の性行為だけでなく、「ナイフで皮膚に奴隷と刻ませる」「膣内に虫やはさみを挿入する」「男性公衆トイレで強姦/自慰」「床をなめる」など常軌を逸した酷い行為を強要されていた。中には10歳未満の幼女たちのビデオも存在したという。

博士と主犯の計13名はすでに検挙されたが、全ては外国のサーバーを通じた「テレグラム」のオンライン上でやり取りされている点や、N番ルームだけでなく、同様のトークルームは細かく細分化し60以上も存在していた点。さらに、被害者である女性が自ら撮影し映像を提供しており、さらに被害者でありながら新たな被害女性を連れてくるなど加害者側に回っている点など、犯人たちはたくみにネット上での抜け穴を利用し、重罪を被らないようにしていた。

現在、一部の韓国人たちが協力し合い、この事件の全容を英語や日本語、スペイン語、中国語などに翻訳しTwitterやインスタグラムを通じて拡散しながら各国からの協力を呼び掛けている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中