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2020米大統領選米民主候補者争いはクロブシャー、ブティジェッジら撤退組がバイデン支持へ 穏健派が結束の動き
11月の米大統領選に向けた野党民主党の候補指名争いで、エイミー・クロブシャー上院議員(右)が撤退すると、同氏の陣営が2日明らかにした。同じ中道派のバイデン前副大統領(左)に支持を表明する計画という。サウスカロライナ州チャールストンで2月撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)
11月の米大統領選に向けた野党民主党の候補指名争いから撤退したブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長は2日、指名獲得を狙うバイデン前副大統領を支持すると表明した。
エイミー・クロブシャー上院議員も同日、テキサス州ダラスでの集会で候補指名争いからの撤退とバイデン氏への支持を明らかにした。
党内穏健派の間では、支持率でトップを走る急進派のバーニー・サンダース上院議員の勢いを食い止めるためにバイデン氏を支持する動きが広がっており、14州の予備選が集中する3日のスーパーチューズデーを前に同氏への追い風になるとみられる。
クロブシャー議員は2日夜にダラスの集会で演説し、バイデン氏を紹介する前に、「ジョー・バイデンは人生を人々のための戦いに捧げてきた。富や権力を持つ人々のためにではなく、母親や農家、ドリーマーや退役軍人のためだ。バイデン氏はわれわれの国を団結させられる」とたたえた。
ブティジェッジはこれより先、ダラスでバイデン氏と会合後、記者団の前に現れ、「バイデン氏を支持できることは光栄だ」と表明。「並外れた寛大さと優しさ、思いやりを持った人物だ」と称賛した。
ダラスの集会には候補争いから昨年撤退したベト・オルーク元下院議員がサプライズ・ゲストとして登場し、やはりバイデン氏への支持を表明した。
前週末のサウスカロライナ州予備選で圧勝したバイデン氏は、スーパーチューズデーでサンダース議員に対して一気に優位に立ちたい考え。14州にはテキサスのほか、カリフォルニア、バージニア、マサチューセッツなどが含まれる。
ただ、今回から予備選に参戦する同じ穏健派のマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長も支持率を伸ばしており、強力な対抗馬だ。
スーパーチューズデーに予備選・党員集会を開く14州では合計で1357人前後の代議員を割り当てる。全体の代議員数の約3分の1で、1日に割り当てられる代議員数としては最大。各候補は指名獲得のために1991人を集める必要がある。
富豪トム・ステイヤー氏も前週末に撤退を表明しており、民主党の指名争いは、穏健派がバイデン氏とブルームバーグ氏に事実上絞られ、急進派はサンダース氏がエリザベス・ウォーレン上院議員をリードしている。これにタルシ・ガバード下院議員を加えた計5人が残る。
ブティジェッジ氏の資金調達担当者は匿名を条件に、同氏の支持者の一部は既にバイデン陣営への献金を計画していると述べた。
ただ、サンダース氏の選対幹部ファイツ・シャキール氏は穏健派が結束する動きを恐れない姿勢を表明。「体制派は神経を尖らせている。われわれがトランプ大統領に勝てないからではなく、勝つ見込みだからだ」と指摘。「トランプ氏に勝利すれば民主党は再び労働者層の党になる」と強調した。
クロブシャー、ブティジェッジ両氏の撤退で実際に恩恵を受けるのが誰かは明確ではない。調査会社モーニングコンサルトが2月23─27日に実施した世論調査によると、ブティジェッジ氏の撤退表明の前に同氏の支持者の21%は第2の選択肢にサンダース氏を選んでおり、バイデン氏とウォーレン氏を選んだのは各19%、ブルームバーグ氏は17%だった。
*内容を追加しました
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