最新記事

北朝鮮

トランプの制裁解除できない金正恩 国民に「長期戦」呼びかけ

2020年2月4日(火)09時19分

北朝鮮は米国に対して一方的に非核化交渉期限を2019年末までと設定していたものの、結局は何事もなく新年を迎えた。写真は南北非武装地帯の板門店で会談した北朝鮮の金正恩委員長(左)とトランプ米大統領。2019年6月撮影(2020年 朝鮮中央通信提供)

北朝鮮は米国に対して一方的に非核化交渉期限を2019年末までと設定していたものの、結局は何事もなく新年を迎えた。ただ、北朝鮮の国営メディアの報道や当局による各種の政治宣伝は、米国との対立が長期化することに焦点を当てる内容となっている。

金正恩・朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領の2年にわたる首脳外交で米朝関係が新たな局面に入り、何十年も貧困にあえいできた北朝鮮が経済的に発展するとの期待は、もはや消え失せたように見える。

むしろ北朝鮮政府はここ数週間、国営メディアや政治ポスターなどを通じて、この先は米国や国際社会の圧力による険しい道が待っている、と国民に強く警鐘を鳴らす。「障害を突破せよ」とメッセージを発し、国力強化に協力せよと求めている。

旧正月に行われた一連の祝賀行事の中には、金正恩氏など指導部のために開かれたコンサートもあった。そこで打ち出された、敵に勝利する指導部を賞賛するというメッセージは、国民にとっておなじみだ。

だが、今回はその指導部が、外交面で早期の事態打開を想定していないとの見方をはっきりさせたのが特徴だ。

ジョージ・メーソン大学コリアのアンドレー・アブラハミアン客員研究員は「米国の敵対的政策と制裁のせいで、予見可能な将来において、より厳しい状況になるというメッセージだ」と解説する。

北朝鮮の外交官との非公式会合に定期的に参加している欧州のある研究者は、北朝鮮政府は水面下では引き続き、切実に必要な制裁解除を模索していると述べた。

しかし、表向き北朝鮮は米国が非核化交渉の期限までに柔軟な態度を示さず「乱暴で非人道的な」制裁を続けていることをなじり、もはや核・ミサイル開発に関して過去に表明した約束には縛られないと言い切っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トヨタ、23年度は世界販売・生産が過去最高 HV好

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の

ワールド

東南アジア4カ国からの太陽光パネルに米の関税発動要

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時700円超安 前日の上げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中