最新記事

温暖化対策

「日本は温室効果ガス削減強化せよ」 合計運用資産4千兆円の投資家団体、安倍首相に公開書簡

2020年2月18日(火)11時58分

複数の機関投資家団体は、安倍首相(写真)に公開書簡を送り、温室効果ガス排出量を一段と削減するよう求めた。写真は2019年12月、成都で代表撮影(2020年 ロイター)

運用資産が合計で37兆ドルに上る複数の機関投資家団体は、安倍晋三首相に公開書簡を送り、温室効果ガス排出量を一段と削減するよう求め、日本政府に前向きな動きがあれば、今年11月の気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に国際的な環境対策強化につながると指摘した。

英国や欧州連合(EU)の大半の加盟国が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げるなか、日本は主要7カ国(G7)の中で唯一、石炭火力発電所をいまだに新設するなど対応が遅れており、環境保護団体などから批判を浴びている。

公開書簡に署名した「気候変動に関するアジア投資家グループ」のレベッカ・ミクラライト代表は「日本の排出量削減へのアプローチは、アジア全域で注目されている」と指摘。

「投資家らは、2030年までの一段の排出量削減を促進する強力で前向きな政策上の動きや、2050年までの排出量実質ゼロに向けた明確な道筋を確認できれば、クリーンな技術や気候変動に耐性のあるインフラへの投資を加速させて(日本の動きに)応じるだろう」とした。

公開書簡は日本政府に対し、11月に英グラスゴーで開かれるCOP26を前に、今よりも野心的な温室効果ガス排出量削減目標を打ち出すよう求めている。

書簡に署名した複数の投資家グループによると、630以上の機関投資家がメンバーとなっており、世界の総運用資産の約半分を手掛けている。メンバーには米運用大手ブラックロック、独保険大手アリアンツ、BNPパリバ・アセットマネジメント、米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)が含まれている。

[ロンドン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200218issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:ドル高の痛み、最も感じているのはどこか

ワールド

米上院、ウクライナ・イスラエル支援法案可決 24日

ビジネス

訂正-中国長期債利回り上昇、人民銀が経済成長見通し

ビジネス

米、競業他社への転職や競業企業設立を制限する労働契
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中