最新記事

宇宙開発

ソーラーセイル実証機「ライトセイル2号」が太陽光で地球周回軌道航行

2019年8月13日(火)18時30分
松岡由希子

ライトセイル2号から撮影された地球 The Planetary Society

<ライトセイル2号は、ソーラーセイルを推力として地球周回軌道を航行することに成功した世界初の宇宙船となった......>

国際非営利団体(NPO)の惑星協会が開発したソーラーセイル実証機「ライトセイル2号」が、2019年6月25日、スペースXの大型ロケット「ファルコンヘビー」に搭載され、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた

ソーラーセイルを推力として地球周回軌道を航行に成功

ライトセイル2号は、7月23日、地球周回軌道上でソーラーセイル(太陽帆)を展開させ、7月31日、太陽光だけで軌道の遠地点を2キロメートル上昇させることに成功した

その後も太陽光によって順調に航行し、8月5日には軌道の遠地点を3.2キロメートル上昇させ、地球との距離が729キロメートルに達している。

光子がソーラーセイルにあたって推力に

ライトセイル2号は、ソーラーセイルを推力として地球周回軌道を航行することに成功した世界初の宇宙船であり、地球から打ち上げられたソーラーセイル実証機としては、2010年5月21日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって打ち上げられた小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス(IKAROS)」に続いて2例目となる。

ソーラーセイルとは、反射材でできた巨大な帆で太陽の光を反射させ、推力に変えるというものだ。光は、エネルギーと運動量を運ぶ光子(フォトン)と呼ばれる粒子でできており、光子がソーラーセイルにあたって跳ね返ると、運動量の多くが伝達され、光が反射した方向と逆方向へ加速する。化学ロケットに比べると推力は小さいものの、途絶えることはなく、時間の経過とともに速度を上げることができる。太陽光を無限に活用できるのも利点だ。

1年後、大気圏に再突入して燃え尽きる見込み

ライトセイル2号のソーラーセイルは、電気の絶縁材料であるマイラー(テレフタル酸ポリエステル)をアルミで被覆したもので、4枚の三角形をつなぎ合わせることで、ボクシングリングと同サイズの32平方メートルの正方形をなす。

制御システムがライトセイル2号の方位をコントロールしており、8月3日には、地球の影に入るとソーラーセイルモードから自動で切り替わる機能も実装された。ソーラーセイルを展開した7月23日以降の10日間で、ライトセイル2号がソーラーセイルモードで航行した時間は、全体のおよそ3分の2を占めている。

ライトセイル2号は、軌道を上昇させるミッションを1ヶ月間、実施したのち、およそ1年かけて徐々に軌道を外れ、大気圏に再突入して燃え尽きる見込みだ。ライトセイル2号の航行状況は、惑星協会の公式ウェブサイトでリアルタイムに公開されている。

ニュース速報

ワールド

情報BOX:新型コロナウイルスを巡る海外の状況(5

ビジネス

S&P5日ぶり反落、雇用統計控え利食い売り

ワールド

抗マラリア薬とコロナ患者死亡リスク巡る研究撤回、デ

ワールド

トランプ氏、選対顧問らと会合 景気低迷やデモが再選

MAGAZINE

特集:検証 日本モデル

2020-6・ 9号(6/ 2発売)

日本のやり方は正しかったのか? 感染対策の効果を感染症専門家と考える

人気ランキング

  • 1

    街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...

  • 2

    東京都、新型コロナウイルス新規感染28人 4日連続で2桁台

  • 3

    【世論調査】アメリカ人の過半数が米軍による暴動鎮圧を支持

  • 4

    トランプの着々と進む「戦争」準備、ワシントン一帯…

  • 5

    着物は手が届かない美術品か、海外製のインクジェッ…

  • 6

    世界最速の座から転落 「上海リニア」もはや無用の長…

  • 7

    日本不買運動で韓国人が改めて思い知らされること

  • 8

    ドイツで知名度をあげたウイルス学者は、コロナ予防…

  • 9

    横領、虐待...「ナヌムの家」慰安婦被害者の施設で起…

  • 10

    RIP木村花 ネットの悪質コメント、日米韓それぞれの…

  • 1

    街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...

  • 2

    ロンドンより東京の方が、新型コロナ拡大の条件は揃っているはずだった

  • 3

    「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

  • 4

    レストランで騒ぐ息子が店員に叱られた話、FBに投稿…

  • 5

    ギター人気復活を導く「スーパークール」な和製ギター

  • 6

    韓国総選挙にデジタル不正疑惑か? 中国から開票機…

  • 7

    西浦×國井 対談「日本のコロナ対策は過剰だったのか」

  • 8

    「NO JAPAN」に揺れた韓国へ「股」をかけて活躍した日…

  • 9

    韓国、アイドルファンも抗議デモ 愛すればこそ、裏切…

  • 10

    ブラジルのコロナ無策は高齢者減らしのため?

  • 1

    「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

  • 2

    金正恩「死んだふり」の裏で進んでいた秘密作戦

  • 3

    スズメバチが生きたままカマキリに食べられる動画が、アメリカでバズる理由

  • 4

    気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言し…

  • 5

    過激演出で話題のドラマ、子役2人が問題行動で炎上 …

  • 6

    日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいってい…

  • 7

    コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当…

  • 8

    ロックダウンは必要なかった? 「外出禁止は感染抑…

  • 9

    コロナ禍で露呈した「意識低い系」日本人

  • 10

    「イギリスが香港のために立ち上がらないことこそ危…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月