最新記事

日本政治

参院選、女性候補者の割合は過去最高も28%止まり 女性が政治参加するためのハードルとは

2019年7月16日(火)14時15分

7月15日、7月21日投開票の参院選では、女性候補者が全体の28%と過去最高に達した。写真は新潟選挙区の野党統一候補で新人の弁護士・打越さくら氏。見附市で9日撮影(2019年 ロイター/Linda Sieg)

7月21日投開票の参院選では、女性候補者が全体の28%と過去最高に達した。党派別では立憲民主党の45%が目立っているが、「女性活躍」を掲げてきた安倍内閣の与党・自民党は15%。女性議員の割合に関する国際比較では165位にとどまっており、国会はまだまだ「女性が輝く」場にはなっていない。

今回の参院選は、選挙で男女の候補者をできる限り「均等」にするよう政党に求める「男女共同参画推進法」が2018年に成立後、初めての国政選挙となる。

ロイターは、国会議員や学者などに女性議員が少ない背景について聞き、自民党の現職男性候補と野党の推す新人女性候補が争う新潟県で、候補者、有権者らに取材を行った。

自民党現職と野党新人女性の接戦

新潟選挙区は、自民党現職の塚田一郎氏(55)と、野党統一候補で新人の弁護士・打越さくら氏(51)が1議席を争う激戦区の1つ。

2世議員でもある塚田氏は、道路整備をめぐって安倍首相や麻生太郎財務相の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した問題を受け、責任を取って国土交通副大臣を辞任。逆風の中での選挙戦を強いられている。

60代の男性は新潟駅前でロイターの取材に対し、塚田氏のそんたく発言は「あまりにも選挙民を愚弄(ぐろう)し、なめている」と強く批判した。「今までは自民党を支持してきたが、今回はお灸(きゅう)をすえようと思った。気が変わる前に、今から期日前投票に行ってくる」と話した。親から継いだ呉服屋を営んでいた男性は、地元商工会の世話人なども務め自民党を支えてきたという。

一方、30代の女性は、年金問題などに不安があり、選挙には少し関心があるとし「自民党を応援している。他の党と比べると安心感があるから」と答えた。

弁護士として児童虐待防止やドメスティックバイオレンス(DV)の救済に取り組んできた打越候補は、原発ゼロや子どもの貧困対策などを訴えている。

同氏は県内で開かれた集会の前にロイターの取材に応じた。地元出身でないため、知名度が低いことで難しさがあるとしながらも、自身が働く母親であることを挙げて「女性の方が、やはり子育てや教育、福祉などをリアリティーを持って感じられる」と語った。

新潟国際情報大学の佐々木寛教授は、新潟の選挙戦について「今はおそらく50対50」だと分析する。「新潟は女性が働く伝統があり、実際の社会を回しているのは、お祭りもそうだが女性だった」と話す。

野党系女性国会議員が3人いるのは、他県と比べても多いとし、打越候補が女性であることは「マイナスではないと思う」と述べた。

一方、自民党にとっても、原発があるこの選挙区は最重要選挙区。野党共闘の牙城を崩そうと、組織固めなど引き締め作戦に出ているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:米第1四半期GDPは上方修正の可

ワールド

プーチン氏、5月に訪中 習氏と会談か 5期目大統領

ワールド

仏大統領、欧州防衛の強化求める 「滅亡のリスク」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中