最新記事

韓国事情

韓国で日本製品の不買運動計画がたびたび起きても不発に終わる理由

2019年1月10日(木)17時30分
佐々木和義

連盟は大手クレジットカード会社に対する不買運動を展開して、加盟店のカード手数料引き下げに成功し、大型スーパーの日曜休業義務化を実現させるなど大きな影響力を持つ団体だ。日本のメディアは両国間の通商摩擦につながるおそれがあると反発し、韓国メディアも商人が市場を政治的に利用して消費者の選択権を制限する行為は、市場自体を縮小する危険な発想だと懸念を表明している(中央日報)。

不買運動は同年3月1日から実施する計画だったが、韓国の中小事業者のなかには日本人観光客や日本製品の販売で生計を立てている事業者が少なくない。連盟が用意した不買運動を呼びかけるステッカーの貼付を嫌うなど足並みが揃わなかった。

消費者もなぜアサヒビールをより味が劣る韓国ビールを飲まなければならないのかなどとして賛同する人は少なく、不買運動は不発に終わっている。

スウェーデンのイケアが韓国に進出した際、同社が販売する地図で、日本海の表記が、韓国が提唱する「東海」ではなく「Sea of Japan」と記載されているとしてイケアの不買運動を求める声がネットであがり、2018年の五輪開会式でもスターバックスの役員に名を連ねる解説者が、日本の統治を擁護する発言をしたとして不買運動に広がりかねない事態となった。

内部倫理の見直しとSNS

不買運動の呼びかけはSNSで拡散する。ナッツ・リターン事件に伴って拡散した大韓航空に対する不買運動を深刻に受け止めたサムスンや現代、LG、SKなど韓国の主要企業は、内部倫理の見直しとSNSを通じたオンラインコミュニケーションの取り組みを強化している。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官が近く訪中へ、「歓迎」と中国外務省

ビジネス

IMF、スリランカと債券保有者の協議を支援する用意

ワールド

EU諸国、ミサイル迎撃システムをウクライナに送るべ

ビジネス

中国人民元建て債、3月も海外勢保有拡大 ペースは鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中