最新記事

中台関係

習近平、台湾との平和的統一主張するも武力行使は否定せず 台湾当局は反発

2019年1月2日(水)19時18分

中国の習近平国家主席は2日、北京の人民大会堂で演説し、中国には台湾統一のために武力を行使する権利があるとした上で、平和的な「統一」を目指す考えを示した。(2019年 ロイター/Mark Schiefelbein)

中国の習近平国家主席は2日、北京の人民大会堂で演説し、中国には台湾統一のために武力を行使する権利があるとした上で、平和的な「統一」を目指す考えを示した。台湾の蔡英文総統はこれに反発し、中国は民主主義を受け入れるべきと主張した。

中国は台湾と中国の一部とみなしており、独立派の民進党の蔡政権誕生後、台湾への圧力を強めてきた。

習主席は、中国が台湾政策を武力行使から対話に転換した「台湾同胞に告げる書」の発表から40年を記念する式典で演説した。

その中で、「統一」は台湾を中国の一部として受け入れる「一つの中国」の原則の下で実現する必要があると訴えた。

また、台湾の大多数の人は独立が「大惨事」につながることをはっきりと認識していると指摘。その上で「中国が中国人を攻撃することはない。最大限の誠意と努力によって平和統一を目指す用意がある」と強調した。

一方で武力行使しないとは約束せず、平和統一の目標を達成し台湾独立を阻止するため、あらゆる必要な手段を講じる選択肢を保持すると述べた。

ただ、標的となるのは外国勢力による干渉や、ごく少数の台湾独立勢力とその活動だとした。米国を念頭に置いた発言とみられるが、詳細には踏み込まなかった。

「一つの中国」の原則を受け入れるなら、台湾のいかなる政党とも統一に向けた政治プロセスの推進に向けて協議する用意があるとの立場もあらためて示した。

さらに「平和統一後、台湾には持続的な平和や豊かな生活がもたらされる」とし、住民の懸念払しょくに努めた。

これを受けて蔡総統は記者団に、台湾は「一国二制度」を決して受け入れず、民主的社会を誇りに思っていると主張。

「台湾の大半の住民は『一国二制度』に断固反対だ。これは『台湾のコンセンサス』だ」と述べた。

そのうえで「われわれは、中国に対し、勇気をもって民主主義に向け踏み出すよう呼び掛ける。それによってはじめて台湾の考え方や主張を真に理解できる」と語った。

[北京 2日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中