最新記事

日韓関係

日韓共同宣言から20年 韓国の日本文化開放はどこまで進んだ?

2018年11月28日(水)19時13分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

小渕恵三=金大中両首脳による日韓共同宣言から20周年を迎えた2018年だったが── REUTERS

<徴用工判決や慰安婦財団の解散などでギクシャクしたままの日韓関係。今年は小渕恵三=金大中による日韓共同宣言から20周年という節目の年だったのだが......>

昨今のニュースでは徴用工判決や慰安婦問題など日韓関係が危ぶまれる報道をよく目にするが、実は今年2018年は韓国で日本の映画、音楽などが解禁された"大衆文化開放"が始まって20周年という節目となる年だ。

李承晩政権が成立して以降、韓国内では法令によって日本の大衆文化(映画/音楽/漫画/アニメなど)の韓国流入が規制されてきた。しかし、1998年に金大中大統領が日本に訪れた際発表された「日韓共同宣言 21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」に基づき、韓国内で日本文化が少しづつ開放されてきた。
日本文化開放は4段階に分かれており、第1次開放は1998年10月20日。続いて第2次開放は1999年9月10日。第3次は2000年6月27日。そして第4次開放は少し間が開いて2004年1月1日に解禁となった。

まず、第1次開放から日本の漫画本や漫画雑誌が完全開放された。それと、同時に可能になったのが映画の公開だった。しかし、すべての日本映画が許されたわけではなく、世界4大国際映画祭(カンヌ映画祭、ベネチア映画祭、ベニス映画祭、米アカデミー賞)受賞作品、または日韓共同制作(20%以上韓国出資であり、さらに韓国人監督もしくは韓国人俳優主演の場合)のみ上映可能という高いハードルの条件付きだった。世界的に芸術作品と認められた映画のみ韓国で公開できたのだ。

この時、韓国で公開された作品は、黒澤明監督の『影武者』、今村昌平監督の『うなぎ』、北野武監督の『HANA-BI』などである。また、日韓共同作品として制作された『家族シネマ』(原作=柳美里、監督=パク・チョルス)も公開された。この頃になると韓国の映画配給会社はすでに次の第2文化開放に向けて公開する日本映画を買い付けるようになっていた。

japaneseculturecensor.png

韓国政府による日本文化開放の過程(鄭 榮蘭「政治的対立と文化交流による日韓相互認識の変遷」より編集部作成)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ビジネス

NY外為市場=円・スイスフラン上げ幅縮小、イランが

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中