最新記事

北朝鮮

「いっそ戦争でも起きれば」北朝鮮国内で不気味な世論が台頭

2018年8月9日(木)15時30分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

米朝首脳会談以降「戦争待望論」は影を潜めていたのだが REUTERS/KCNA

<建国70周年の記念行事のために「忠誠の資金」の上納を求められ、困窮した国民の間で「戦争待望論」が再び頭をもたげつつある>

毎年9月9日は北朝鮮の建国記念日(9.9節)だ。今年は建国70周年ということもあり、当局はかなりの気合を入れて関連行事、事業の準備を進めているようだが、北朝鮮国民はそのしわ寄せで生活が成り立たないような状況に追い込まれている。

羅先(ラソン)にある中朝合弁企業に勤める咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、今月の給料を受け取って驚愕した。300元のはずなのに100元しかもらえなかったからだ。(100元は約1600円)

「事前の説明がないままに『忠誠の資金』の名目で天引きされてしまった」(情報筋)

北朝鮮当局は、建国70周年を控えて関連行事を盛大に開くことを計画しているようだ。それのみならず、建国記念日を飾る高級リゾート「元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」の建設事業を進めている。

北朝鮮では、重要な記念日に合わせて建設プロジェクトの完成を急ぐあまり、死亡事故が相次ぐ現象が繰り返し起きている。

参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

このリゾートも同様で、当局はさらに、不足する建設費を賄うため国民のカネを巻き上げているということだ。

「以前にも勝手に天引きされることはあったが、今回のように3分の2も持って行かれたことはなかった。1ヶ月に200元でも苦しいのに100元しかもらえず、どうやって生きていけばいいのか目の前が真っ暗だ」(情報筋)

同じ会社で働く夫婦は2人で200元しか受け取れなかった。平均的な4人家族の1ヶ月の生活費が50万北朝鮮ウォン(約6500円、約410元)であることを考えると、とても暮らしていけない。夫婦は「いくら働いても手元にはほとんど残らないほどなのに、もしかして来月も天引きされるかもしれない」と心配している。

参考記事:「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝鮮庶民のキツい本音

MAGAZINE

特集:5Gの世界

2019-3・26号(3/19発売)

超高速大容量の通信でネット利用が快適に...... どころで済まない5Gの潜在力と激変する未来の姿

人気ランキング

  • 1

    モデルの乳がんを、レンブラントは意図せず描いた【名画の謎を解く】

  • 2

    「虐待が脳を変えてしまう」脳科学者からの目を背けたくなるメッセージ

  • 3

    「囚人式」コンディショニングが、ビジネスパーソンに必要な理由

  • 4

    アフリカの違法エナジードリンク、「6時間たちっぱ…

  • 5

    500年間誰も気づかなかったダビデ像の「目の秘密」【…

  • 6

    完璧としか言いようがない、イチロー選手の引退劇

  • 7

    すべてのパソコンをタブレットに変えたら、どれぐら…

  • 8

    いじめで「死ななかった子」と親を取材して分かった…

  • 9

    全米を震撼させた裏口入学スキャンダル、その驚きの…

  • 10

    巨額負債から回復するも高くついたゴーン流経営 日…

  • 1

    日本の重要性を見失った韓国

  • 2

    モデルの乳がんを、レンブラントは意図せず描いた【名画の謎を解く】

  • 3

    500年間誰も気づかなかったダビデ像の「目の秘密」【名画の謎を解く】

  • 4

    韓国のPM2.5が危機的状況で、比較的空気の綺麗な日本…

  • 5

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 6

    北斎は幽霊っぽさを出すために子供の頭蓋骨を使った…

  • 7

    日本よ!「反韓・嫌韓」は時間の無駄だ

  • 8

    地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

  • 9

    金正男暗殺実行犯の女性被告1人を釈放・帰国 マレー…

  • 10

    「韓国にまともな民主主義はない」アメリカも抱く誤…

  • 1

    日本の重要性を見失った韓国

  • 2

    家畜のブタが人食いブタに豹変──ロシア

  • 3

    映画『ボヘミアン・ラプソディ』が語らなかったフレディの悲劇

  • 4

    自殺者数、米軍兵力、初任給... 韓国のリアルを10の…

  • 5

    フィンランドで隠し撮りされた「怪物」の悲劇

  • 6

    【動画】サメを虐待した金持ち息子に軽すぎる刑

  • 7

    地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

  • 8

    モデルの乳がんを、レンブラントは意図せず描いた【…

  • 9

    韓国のPM2.5が危機的状況で、比較的空気の綺麗な日本…

  • 10

    『ボヘミアン・ラプソディ』を陰で支えた、クイーン…

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
NWデジタル編集部ほか求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月