最新記事

中東

イスラエル、米大使館エルサレム移転の記念式典 多数の国が代表派遣見送る

2018年5月14日(月)11時02分

5月13日、イスラエルは、在イスラエル米大使館のエルサレム移転・開設を翌日に控え、ネタニヤフ首相主催の記念式典を開いた。式典でフリードマン在イスラエル米大使(左)に感謝状を手渡す同首相(右)。エルサレムで撮影(2018年 ロイター/Amir Cohen)

イスラエルは13日、在イスラエル米大使館のエルサレム移転・開設を翌日に控え、ネタニヤフ首相主催の記念式典を開いた。イスラエルに在外公館を持つ86カ国が招待されたが、西欧諸国をはじめ多くの国の代表が欠席、中東和平を巡る米国の孤立が浮き彫りになった。

トランプ米大統領は昨年12月にエルサレムをイスラエルの首都と認定。これにパレスチナは猛反発し、先進諸国は、パレスチナ自治区ガザのイスラエルとの境界付近などで軍事衝突が激化する可能性に懸念を示している。

多くの国は、エルサレムの扱いについて、和平交渉を通じて解決策を見いだすべきとの立場を崩しておらず、米国による大使館移転を批判している。

外務省で開かれた記念式典でネタニヤフ首相は、米国以外の諸外国に対し、「エルサレムに大使館を移転すべきだ。それが和平を進展させることになる」と呼び掛けるとともに、いかなる和平合意でもエルサレムはイスラエルの首都にとどまると強調した。

式典には、ムニューシン米財務長官とトランプ大統領の娘のイバンカ氏や娘婿のクシュナー上級顧問らが出席。

イスラエル政府によると、招待された86カ国のうち、33カ国が参加を表明。トランプ政権に追随して、イスラエルにある大使館をエルサレムに移転することを決めたグアテマラやパラグアイが含まれる。

欧州からはハンガリー、ルーマニア、チェコの代表が出席したが、西欧諸国は軒並み参加を見送っており、欧州連合(EU)内での対応の違いが浮き彫りになった。

EUのイスラエル代表部は11日、ツイッターで、EUは「エルサレムに関する国際社会の総意を尊重する。エルサレムの最終的な扱いが決まるまでの在外公館の場所に関する合意もこれに含まれる」と表明した。

[エルサレム 13日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中