イランが核保有に要する時間はどのくらいか
兵器開発には時間がかかる
核合意では、イランは兵器級プルトニウムも15年間生産できないことになった。これに従い、イランは西部の都市アラク近郊に建設中だったプルトニウム生産用の重水炉を、兵器級プルトニウムを生産できないよう改造した。
ここからイランが核保有国の仲間入りをするには、何年もかかるとみる専門家もいる。
「イランが核兵器開発を進めてアメリカに対峙するには、何をどれだけ作るかなど決めるべきことがたくさんある。今すぐ始めても何年もかかるだろう。施設があっても、すぐに核を保有できるわけではない」と、米シンクタンク・戦略国際研究所の国家安全保障の専門家アンソニー・コーズマンは本誌に話した。
「核合意で、イランは多くを放棄した。計画はすぐには再開できない。改造した原子炉を元に戻すには時間がかかり、再設計が必要だ。元に戻しても、それで爆弾が1個できるとは限らないし、できたとしてもその実験がうまく行くとは限らない」
核武装を望む保守強硬派
イランが核合意を順守しているかは、国際原子力機関(IAEA)が定期的に査察を行い、報告書をまとめている。それによれば、イランが合意に違反したことを示す証拠は一切ない。
それでもドナルド・トランプ米大統領は、15年の期限付きでは、その後の核兵器開発を容認することになると主張する(実際は、イランは開発計画を続行しないとし、核施設を建設する場合はIAEAに告知すると約束している)。
またトランプは、従来型の弾道ミサイルの実験を禁止していないこともこの合意の重大な欠陥だと指摘。抜け穴だらけの合意で制裁が解除されたおかげで、イランは核開発を断念せずに、中東で影響力を拡大していると、怒りをぶちまけてきた。
アメリカの離脱に、他の当時国が最終的にどう対応するかは不透明だ。だがアメリカが再び制裁を発動すれば、イラン国内で反米感情が高まり、イランは核兵器を持つべきだとする保守強硬派が勢いづく懸念もある。