最新記事

ロシア

再選果たしたプーチン、外交では軍拡競争望まずと表明 相違解決に最大限努力

2018年3月20日(火)10時14分

プーチン大統領は19日、ロシアには軍拡競争を繰り広げる意図はないとし、亀裂が広がっている西側諸国に対しソフトな姿勢を示した。写真は19日クレムリンで。REUTERS

18日投票のロシア大統領選挙で再選を決めたプーチン大統領は19日、ロシアには軍拡競争を繰り広げる意図はなく、他の国との間の相違の解決に最大限努めるとし、亀裂が広がっている西側諸国に対しソフトな姿勢を示した。

開票率ほぼ100%の段階でプーチン氏の得票率は76.69%。2位のロシア共産党のパーベル・グルジーニン氏(得票率11.8%)、3位の自由民主党のウラジーミル・ジリノフスキー党首(同5.6%)を大きく引き離して勝利した。野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は出馬できなかった。

プーチン氏の獲得票数は5600万票を超え、プーチン氏自身の記録も超えたほか、ソ連崩壊後のロシア主導者としても最高となった。

今回の選挙について欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団は、基本的な自由や候補者登録が制限されたことなどで競争が阻害されていたと指摘。「今回見られたように真の競争が欠如した選挙は真の選挙ではない」との見解を示した。

プーチン氏はこの日、大統領府で開いた他の候補者との会合の場で、国際問題でなく国内問題に注力し、防衛費を削減する一方で教育、インフラ、医療保健への投資を拡大し、ロシア国民の生活水準の向上に努める方針を表明。「軍拡競争の加速化を計画している者はいない」とし、「政治的、外交的手段を通し、パートナーとの間の相違を解決するために全力を尽くす」と述べた。

プーチン氏は65歳。1999年から大統領もしくは首相として実権を握ってきたが、今回の再選により任期は2024年までとなり、任期満了まで務めれば旧ソ連の指導者スターリンに次ぐ長期政権となる。

カーネギー・モスクワ・センターのシニアフェロー、アンドレイ・コレスニコフ氏は、プーチン氏が基本的に1人で進めているプロジェクトによりシステムが複雑になっているとし、「プーチン氏が実権を握っている期間が長くなればなるほど表舞台からの退場が難しくなる」との見方を示した。

[モスクワ 19日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国「経済指標と国防費に透明性ある」、米司令官発言

ワールド

ジュリアーニ氏らアリゾナ州大陪審が起訴、20年大統

ビジネス

トヨタ、23年度は世界販売・生産が過去最高 HV好

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中