最新記事

韓国事情

コンビニコーヒーは、安すぎる? 韓国のコーヒー事情

2018年3月9日(金)16時50分
佐々木和義

韓国のスタバは高級ブランドとして人気 Kim Hong-Ji-REUTERS

<韓国のコーヒー市場は成長し続けている。スターバックスは、価格は高い設定で店舗数で日本の倍以上の人気だが、コンビニコーヒーは成功していない...>

韓国コーヒー市場は、2017年度にはじめて10兆ウォンを超え、11兆7397億ウォン(約1兆1700億円)に達した。推定消費量は265億杯で、国民1人当たり512杯飲んだ計算になる。飲食文化の多様化で、高級嗜好品を好む消費者の趣向を反映したコーヒー専門のカフェが増加し、単価の高いコーヒーの消費が拡大している。

韓国のコーヒーは、インスタントコーヒーと砂糖、クリームの粉末がセットになったスティックタイプの「ミックスコーヒー」が主流だが、2000年頃からスターバックスをはじめとするカフェが急増し、レギュラーコーヒー市場は2007年の9000億ウォン台から2017年は7兆8628億ウォンと10年で7倍以上に急成長した。

スターバックスの人口当たり店舗数、日本の倍以上

1999年に韓国1号店をオープンしたスターバックスは、2017年1月までに1000店を超え、人口5万人当り1店舗で、11万人に1店舗の展開日本の2倍以上となっている。2016年に売上高が1兆ウォンを突破し、2017年には営業利益が1000億ウォンを超えるなど、韓国のコーヒー市場をけん引する。

韓国スターバックスの主力商品はアメリカーノで、ショート、トール、グランデ、ベンティの4つのサイズがあり、販売比率はトールサイズが61%で、大容量のグランデとベンティが合わせて31%を占めている。大容量が好まれる風潮から1リットルコーヒーを売り出すコーヒー専門店も現れた。

持ち歩き用に大きめの紙コップを好む消費者

韓国農林畜産食品部と韓国農水産食品流通公社(aT)の調査によると、韓国の消費者がコーヒーを飲む時間帯は、昼食後(27.6%)が最も多く、出勤後など午前に1人でいる時間(20.4%)が続いている。コーヒーをよく飲む場所は会社(34.1%)、自宅(26.0%)、コーヒー専門店(23.7%)の順だ。

ソウルでは11時半を過ぎるとオフィスを出て、早々に昼食を摂る会社員が多い。食後はカフェなどに移動してドリンクを飲みながら談笑し、午後1時にオフィスに戻るのがトレンドだ。カフェで飲み切れないコーヒーはオフィスに持ち帰る。韓国のカフェは紙コップがスタンダードで、持ち歩き用に大きめの紙コップを好む消費者が多い。

昼食時間を過ぎるとパソコンを持った学生などがカフェを利用する。電源コンセントは先着順で自由に使え、レシートには無料Wi-FiのIDとパスワードが書かれている。カフェにパソコンを持ち込み、ドリンク1杯で長時間過ごす若者が少なくない。

スタバは高めの価格を設定

スターバックスのアメリカーノは4100ウォンと高めの設定で、他のコーヒーチェーンも4100〜4500ウォンの価格設定だ。UCC上島珈琲の現地法人UCCコーヒー韓国は、回転率の悪さを高価格の要因とみる。おかわりを要求する長時間利用客やグループ客のなかには他店で買った商品を持ち込んで一切注文しない人も含まれる。その見返りが高めの価格設定につながっているのだという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正(17日配信記事)-日本株、なお魅力的な投資対

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中