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サイバーテロの脅威と戦うキーパーソンに学ぶ、最新セキュリティ対策のヒント ── Microsoft Security Forum 2018で示された論点

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2018年3月14日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

Microsoft Security Forum 2018

外務省の泰松昌樹氏(左)とNYK Business Systemsの班目哲司氏(右)が、官民それぞれの目線からサイバーセキュリティを考えた

突破口は「ソマリア海賊対策」にあり

実は、対サイバー攻撃の見本にしたい事例が過去にある。それは、ソマリア海賊駆逐に向け国際社会が官民あげて取り組んだケースだ。アジアと欧州を結ぶ貿易の要衝で年間約2万隻もの船舶が通航するソマリア海域は、治安の悪化で海賊事件が頻発していた。その手口も単にモノを盗む「略奪型」ではなく、組織化した「乗っ取り・身代金要求型」。自動船舶識別情報(AIS)などのITを使ってターゲットを特定するなど、やり口も高度化し「世界経済へのダメージは年間1兆2000億円にも及んだ」

班目氏は、2008年の国連安保理決議がソマリア海賊抑止のための協力を呼びかけたことで、国際対応の気運が高まったと振り返る。EUやNATO軍などが艦船を派遣したほか、日本でも2009年に海賊対処法を制定して、自衛隊の護衛艦が日本関連船だけでなく、すべての商船の警備を行えるようになった。法律の制定にたどり着くには、日本をはじめ世界の経済界の一丸となったアピールが欠かせなかった。海運に携わる企業の従業員には家族がいる。国籍は問わずとも乗組員もまた然りだ。身近な人の安全を守りたいという気持ちは国際社会でも共通の思いとして対応を後押しした。

Microsoft Security Forum 2018

日本マイクロソフトの片山建氏は、ソマリア海賊対策を手本に官民連携を進めたい考え

世界38カ国がサイバー攻撃可能 ──「デジタル時代のジュネーブ条約」を早急に


国際社会共通の脅威に国家同士で協力したケースはもちろん有用だが、息をつくにはまだ早い。昨年5月に約150カ国が標的になった身代金要求型の不正プログラム(ランサムウエア)「WannaCry」の攻撃は、米マイクロソフトと米フェイスブックが提供したデータから、北朝鮮の関与が判明するなど、依然として脅威は存在する。

ファシリテーターを務めた片山氏は、こうした状況に対抗すべく、サイバー空間においても国や民間企業が枠を超えてルールづくりを実際に進めていることを紹介した。議論の方向性としては、第二次世界大戦、戦後における文民や戦争犠牲者の保護を定めたジュネーブ条約にならい「デジタル時代のジュネーブ条約」の制定を考えたいという。

例えば、政府は民間企業に製品のバックドアをつくることを強制しない、民間企業もサイバー攻撃を目的とした製品を作らないといった条約を制定し守ることで、より自由、公正で安全なサイバー空間を形成するという考え方だと、片山氏は言う。

安全・安心なサイバー空間を形成するためには、政府と民間がグローバルに取り組む必要がある。泰松氏、班目氏、片山氏のみならず、フォーラムの登壇者たちが異口同音に言った「個々人がサイバーセキュリティに対し"全員参加"の意識で取り組むことが重要」という「防人」たちの言葉にこそ、より高度化するデジタル社会を生き抜くヒントがある。

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