中国学生の反セクハラ運動封殺か 加害者を処罰するも抗議デモは禁止
セクハラ容疑
最近行われたもう1つの告発は、やはり前出のウェブサイトへの匿名の投稿で、対外経済貿易大学のXue Yuan教授が学生寮で学生の服を引きちぎり、性的暴行を働いたとする内容だった。
Xue氏は公にコメントしておらず、ロイターも同氏からコメントを得られなかった。
大学側は調査を開始し、調査に協力させるため同氏を海外から呼び戻したとの声明を発表した。
女性の権利団体は、陳氏に対する教育省の措置や、Xue氏に対する大学の調査を前向きな一歩と称賛した。一方で、インターネット検閲や社会不安を引き起こす草の根運動に対する当局の警戒感が、大学内のセクハラに対処する本当の改革を妨げる恐れがあると指摘する。
教育省はセクハラを明確に定義する規則をまだ発表していないと、活動家は言う。
学生たちはこの数週間、キャンパス内のより良いセクハラ防止策を求めて、ソーシャルメディア上に公開書簡を投稿。これまでのところ、70通以上が投稿され、多くの署名も集まっている。
だが活動家の1人であるZhang Leileiさんはロイターに対し、そうした書簡の一部が削除されたと語った。ロイターもそれを独自に確認した。
中国当局は、集団行動をかき立てるような問題に関する議論を定期的に検閲している。
また、10校以上の大学が、学生を呼び出して、自分たちの不満に過度に注目を集めるような活動は控えるよう警告していると、Zhangさんは語る。
中国伝媒大学にセクハラ対策改善を求める書簡を今月初めに投稿し、それが他の人たちからひな型として使われているというXiao Meiliさんは、当局が運動を「安定化」したいと考えている可能性が高いと指摘する。
「検閲がなければ、学生が呼び出しを食らわなければ、運動はもっと拡大し、議論も深まっているだろう」とXiaoさんは話した。
中国北部のある大学は、大学の「不名誉」になりかねないため、公開書簡を投稿しないよう学生たちに警告したと、学生の1人は語った。
22日付の学生新聞に掲載された、清華大学の大学院生で構成される共産党団体のリーダーであるBai Benfengさんのハラスメントに関するインタビューは、その翌日には削除されていた。
このインタビューでBaiさんは、中国の一流大学である清華大学には、倫理に反する行動を取ったとする1度の通報で教員が立場を脅かされることもあるシステムが導入されているものの、セクハラ教育は教員と学生の双方において不十分だと語っていた。
清華大学はコメントの要請に回答しなかった。
(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
[北京 31日 ロイター]
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>