最新記事

中国社会

中国学生の反セクハラ運動封殺か 加害者を処罰するも抗議デモは禁止

2018年2月13日(火)16時41分


ドアをロック

中国で「#MeToo」運動が広がる発端となったのは、米国を拠点とする中国人ソフトウエア開発者のLuo Xixiさん(31)が12月31日、北京航空航天大学の陳小武教授からセクハラ被害を受けたとブログに投稿したことだった。

このブログでLuoさんは、12年前の夜に陳教授に車に乗せられ、キャンパス外の家に連れて行かれて、ドアの鍵を閉めた部屋で襲われたと訴えた。これは、匿名で昨年10月に中国のウェブサイト「Zhihu.com」に投稿したものを再投稿したものだった。彼女が泣き始め、処女だと伝えると、教授は手を緩めたという。

調査の結果、陳教授が学生たちにセクハラを行っていたことが判明し、除籍処分にしたと北京航空航天大学は明らかにした。教育省もその後すぐに陳氏の肩書を剥奪した。

1月1日付の北京青年報とのインタビューで、陳氏は規則に違反したことはなく、嫌疑が正確かどうかは捜査で明らかにされるだろうと語っている。ロイターは同氏からコメントを得られなかった。

Luoさんはロイターの電話取材に対し、大学や国営メディア、教育省や中国の世論の反応は、圧倒的に、そして予想外に好意的なものだったと語った。

昨年10月に最初に連絡した当初は、大学側の反応は鈍かったという。「上からの指示がまだないとか、関連する法律や規則がないとか、前例がないとか言って、なかなか対処してくれなかった」とLuoさんは話す。

しかし、名前を明かしての投稿がネット上で拡散し、人民日報が世間に訴えた彼女の決断を支持する論説を掲載すると、大学は直ちに対応した。「その後の進展の早さには、とても満足している」とLuoさんは言う。

当局の今回の対応は、最近の例と比べても非常に異なっている。当局は2015年、警告を無視して世界女性の日に公共交通機関で反セクハラを訴えるデモを計画していた女性活動家5人を拘束した。彼らは1カ月後に解放された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米テスラ、従業員の解雇費用に3億5000万ドル超計

ワールド

中国の産業スパイ活動に警戒すべき、独情報機関が国内

ワールド

バイデン氏、ウクライナ支援法案に署名 数時間以内に

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中