最新記事

金融

米FRB、金利据え置き全会一致で決定 今年は物価上昇との見方表明

2018年2月1日(木)07時01分

1月31日、米FRBは金利据え置きを決めた。写真はワシントンのFRB前で2016年10月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque/File Photo)

米連邦準備理事会(FRB)は31日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25─1.50%に据え置くことを全会一致で決定した。

ただインフレ率は今年は上昇するとの見方を示し、パウエル次期議長の下、3月にも利上げを実施する軌道から外れていないことを示唆した。

FRBは雇用、家計支出、設備投資が堅調に伸びていることに言及し、2018年は経済は緩やかなペースで拡大し、労働市場は堅調さを維持するとの見通しを表明。今年はインフレ率は前年比で上昇し、中期的にFRBが目標とする2%近辺で安定化すると予想されるとし、「一段の段階的な」利上げは正当化されるとの見解をあらためて示した。

FRBはFOMC声明で、市場ベースのインフレ指標は低水準にとどまっているものの、ここ数カ月は上向いているとの認識を示した。

声明はトランプ政権の税制改革が経済成長に及ぼす可能性のある影響について言及していない。

ロバート・W・ベアード(フロリダ州)の首席投資ストラテジスト、ブルース・ビトルズ氏は、「今回のFOMCでFRBは3月の利上げに道を残した。ただこれはすでに織り込まれている」と述べた。

FRBは昨年は3回の利上げを実施。今年も3回の利上げが実施されるとの見通しを示している。米国では労働市場は力強さを増しているものの、インフレ率はFRBの目標を根強く下回っており、FRBが示している緩やかなペースでの利上げはインフレ率が継続的に上向くかどうかにかかっている。

FRBは今回のFOMCでイエレン議長の後任にパウエル理事が就任することを全会一致で承認したことも明らかにした。パウエル氏は2月3日に次期FRB議長に就任する。

FRBはイエレン議長の下で、2007─09年の景気後退(リセッション)からの回復に向け導入されたゼロ金利政策を解除。パウエル氏の政策はイエレン議長が進めた政策から大きくかい離しないとの見方が大勢となっている。

[ワシントン 31日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中