最新記事

遺伝子

DNAが見つける完璧なパートナー 遺伝子をチェックする恋活アプリが誕生

2018年1月19日(金)17時30分
松岡由希子

遺伝子をチェックする恋活アプリが誕生 Todor Tsvetkov-iStock

<ユーザーの頬の内側の粘膜から採取したDNAの情報とSNS上の履歴からユーザーの嗜好や趣味、関心事、習慣なども解析し、"運命の人"を導きだす恋活アプリが登場した>

男女の相性は遺伝子による影響を受けている----。この説においてとりわけ注目されている遺伝子が、ヒトの免疫をつかさどるHLA(ヒト白血球型抗原)だ。"白血球の血液型"といわれるもので、白血球のみならず、あらゆる体液に存在し、その組み合わせは数万通りにものぼる。

1995年には、スイスの生物学者クラウス・ヴェーデキント博士を中心とする独ボン大学の研究プロジェクトが「女性は、HLAの型が最も異なる男性の匂いに魅力を感じる」という研究結果を発表した。

男性の被験者が2日間にわたって着用したTシャツの匂いを女性の被験者に評価させたところ、異なる型のHLAを持つ男性の匂いほど、高い評価をつけたという。

ユーザーの遺伝子情報とSNS上の履歴から分析

このような遺伝子の特性を異性のマッチングに応用したユニークな恋活アプリ「フェラモール」が、2018年2月10日、米テキサス州ヒューストンで正式にリリースされる。

このアプリは、ユーザーの遺伝子情報とソーシャルメディアネットワーク(SNS)上の履歴を組み合わせ、独自に開発した機械学習アルゴリズムによって、それぞれの魅力や個性に合った相手を予測する仕組みとなっている。

ユーザーが専用の検査キットを使って頬の内側の粘膜から検体を採取し、「フェラモール」に送ると、委託先の検査機関がこの検体をもとにフェロモンに関わる11種類のDNAを分析。

さらに、ユーザーが、フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどのアカウントを「フェラモール」と連携させることで、投稿されたコンテンツや「いいね!」のクリック、ハッシュタグなどから、ユーザーの嗜好や趣味、関心事、習慣なども解析され、DNAの情報と組み合わせて、ユーザーにとっての"運命の人"を導きだす流れとなっている。


群雄割拠の恋活アプリ

近年、恋活アプリは群雄割拠の様相を呈している。世界196カ国で利用され、200億以上のマッチング実績を有する「ティンダー」や、フェイスブックを活用した日本最大級のマッチングサービス「ペアーズ」のほか、ドッグオーナーの男女に特化した「ツインドッグ」のようなニッチなサービスまで、多種多様だ。

「フェラモール」は、相性の良し悪しを判断する要素として、ヒトの遺伝子に注目している点が特徴。「男女の相性は遺伝子による影響を受けている」という説の真偽を検証する上でも、「フェラモール」でマッチングされたカップルたちの恋の行方が気になる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国GDP、第1四半期は前期比+1.3%で予想上回

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米金利高止まりを警戒

ワールド

メキシコ大統領選、与党シェインバウム氏が支持リード

ワールド

ウクライナ、国外在住男性のパスポート申請制限 兵員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中