最新記事

日本企業

流通業界、深刻な人手不足をAIとロボット連携で生産性改革へ

2018年1月30日(火)16時44分

1月29日、流通業界では、人口知能(AI)とロボットを組み合わせた省力化投資がにわかに動きを強めている。景気拡大やネット通販拡大に加えて働き方改革の影響もあり、人手不足に拍車がかかり、手をこまねいていては事業拡大もままらない状況がある。写真は中国の物流倉庫内で商品を探す従業員。昨年11月、上海で撮影(2018年 ロイター/Brenda Goh)

流通業界では、人口知能(AI)とロボットを組み合わせた省力化投資がにわかに動きを強めている。景気拡大やネット通販拡大に加えて働き方改革の影響もあり、人手不足に拍車がかかり、手をこまねいていては事業拡大もままらない状況がある。情報化投資では米国の3分の1と言われる日本の非製造業の低生産性打破には、大手だけでなく中小企業までIT化の裾野を広げることが不可欠だ。政府も後押しに本腰を入れ始めた。

コンビニ業界、投資額は3─5割増額

1店舗当たり平均20人のアルバイトが必要と言われるコンビニエンスストア。人手不足の影響を最も顕著に受けており、RFID(電子タグ)の活用をはじめとして、人口知能とロボットを導入した次世代コンビニ構築が喫緊の課題となっている。

ローソン<2651.T>は18年2月期の設備投資額を期中に20億円増額。全体で1010億円、前年比で33.7%という大幅増の計画だ。

竹増貞信社長は「深夜営業(での課題)をテクノロジーを使って解決したい」と話し、今年春をめどに、無人レジ店舗の実証実験を開始することを明らかにしている。

レジロボといわれるセルフレジやタブレットを活用した生産性向上などにも取り組んでおり、19年2月期も高水準の設備投資になる見通しだ。   セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>も国内コンビニエンスストアについては、18年2月期に同1.5倍の1832億円を投じる。新しいレイアウトの店舗への変更などに加え、生産性向上のため、全店舗にカウンター商材の販売什器を洗浄する食洗機を導入している。手洗いに比べて作業時間を約1時間短縮できるため、1店舗当たり1日1時間削減することで、年間約30万円の人件費削減となり、全体では年間60億円を超えるコストカットが可能だ。

コンビニ業界には、省力化投資を怠れば業容縮小を余儀なくされかねないという焦りがある。日本経済全体でもこの構図は当てはまる。日本総研の牧田健・主席研究員によると、労働力人口の減少の下で、労働生産性の伸びが現状程度にとどまった場合、20年代はプラス成長を維持できても、30年代にはマイナス成長が常態化する恐れがあるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏、ウクライナ支援法案に署名 数時間以内に

ビジネス

米テスラ、従業員の解雇費用に3億5000万ドル超計

ワールド

中国の産業スパイ活動に警戒すべき、独情報機関が国内

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中