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マスク着用は子どもの社会性発達を阻害する? これからは「非言語コミュニケーションスキル」に注目を

2021年01月13日(水)13時55分
船津徹

写真はイメージ Drazen Zigic-iStock

<マスクを着けるようになって「子どもたちの笑顔が減った」「子どもと信頼関係を築きにくい」など、日本の教育現場からは子どもの社会性の発達を危惧する声が上がっています。従来のコミュニケーションを補う対策として勧めたい「非言語コミュニケーションスキル」をご紹介しましょう>

新型コロナウィルスの感染拡大によって世界中でマスク着用がニューノーマルとして定着しつつあります。新たな生活様式への適応が求められる中で、アメリカ人の間では「相手の感情が読み取りづらい」「自分の意思が伝えにくい」など、コミュニケーションに関わる問題が表面化してきています。

英語話者は「口元で」コミュニケーションを取る

アメリカ人がマスクに抵抗感を持つ原因の一つにコミュニケーションがとりづらいことがあります。アメリカ人は会話を切り出す時にニコッと口元を引き上げて笑顔を見せる習慣があります。ところがマスクを着けていると相手の口元が見えず、自分から話をしていいのか、相手の発言を待つべきなのか、互いに会話のきっかけが掴めず、やりとりがぎこちなくなってしまうのです。

「口元が見えなくてもコミュニケーションできるはずだ」と日本人は感じるかもしれません。しかし英語話者に関して言えば「口元」がコミュニケーションを円滑にする上で重要な役割を果たしていることが分かっています。

イギリスの心理学者、ハリー・マクガークとジョン・マクドナルドは、英語話者の音声認識(言葉の聞き取り)は聴覚情報だけで決まるのでなく、相手の口元を中心とする視覚情報によっても影響を受ける(マガーク効果と呼ぶ)ことを発見しました。

彼らが行った有名な実験が「ガガガ」と言っている顔の映像に「バババ」という音声を重ねたものです。これを視聴した人のほとんどは「ガ」でも「バ」でもなく「ダダダ」と聞こえる回答したのです。

マガークとマクドナルドの研究は「口元」という視覚情報が実際の音声の聞こえ方を変えてしまうほど影響力が強いことを証明したものですが、興味深いことに日本人は、英語話者に比べて、マガーク効果(視覚情報による錯覚)の影響を受けにくいことが分かっています。

2016年に熊本大学の研究チームは、日本人はコミュニケーションをとる時、最初から相手の声に集中しており、まず相手の口元を見てから声への聞き取りへと進む英米人とは情報処理のプロセスが異なることを発見しました。

また「目は口ほどに物を言う」ということわざの通り、日本人は口元よりも相手の目を見て感情を読み取ろうとする傾向があることも分かっています。このような日米のコミュニケーションスタイルの違いが、マスク着用時におけるコミュニケーションのとりやすさの「差」となっているようです。

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