最新記事

宇宙

ロシアが衛星破壊実験 大量の宇宙デブリが国際宇宙ステーションを今後数年脅かすか

2021年11月16日(火)18時14分
国際宇宙ステーション

米国務省は15日、ロシアが自国の衛星に対し対衛星ミサイルの実験を行ったと発表し、実験に伴い発生した大量の宇宙ごみが宇宙空間を危険にさらしていると非難した。REUTERS

米政府当局者らは、ロシアが自国の衛星に対し対衛星ミサイルの実験を行ったことで大量の宇宙ごみが発生し、国際宇宙ステーションを危険にさらしたほか、「向こう何年も」宇宙活動を脅かす恐れがあると警告した。

米航空宇宙局(NASA)によると、国際宇宙ステーションに滞在している7人の飛行士にミサイル実験後2時間、ドッキングされている宇宙船のカプセルに避難するよう指示した。また、複数のモジュールに通じるハッチを閉じるよう命じたという。

国際宇宙ステーションは90分ごとに破片の塊の中あるいは近くを通過したが、3回目の通過後、クルーがステーション内部に戻ることが安全と判断された。

ロシア軍とロシア国防省のコメントは得られていない。

米宇宙軍によると、ロシアの実験によって1500個以上の「追跡可能な破片」が発生し、他にも小さな破片が何十万個も発生するとみられる。

宇宙軍のディキンソン司令官は「ロシアは全ての国の宇宙領域の安全と安定、長期的持続可能性を意図的に軽視した」と批判。破片は「向こう何年も宇宙活動を脅かし続けることになる」と強調した。

ブリンケン米国務長官はロシアのミサイル実験は「向こう見ずで無責任」と非難した。米国防総省のカービー報道官は、宇宙空間における規範を策定する必要性があることが明らかになったと述べた。

英国のウォレス国防相も、ロシアの人工衛生破壊実験は宇宙空間の安全と持続可能性を踏みにじるものと非難した。

国際宇宙ステーションは7人体制で、4日前に4人の飛行士が新たに6カ月間の滞在を開始したばかり。米国人4人、ドイツ人1人、ロシア人2人で構成されている。 

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国

ビジネス

3月過去最大の資金流入、中国本土から香港・マカオ 

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報値は51.4に急上昇 

ビジネス

景気判断「緩やかに回復」据え置き、自動車で記述追加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中