最新記事

日本社会

「パパ活」はドイツでは通用しない 若いだけで女子をもてはやす日本の不思議

2021年4月5日(月)17時45分
サンドラ・ヘフェリン(著述家・コラムニスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

*写真はイメージです。west - iStockphoto

援助交際が「パパ活」と名を変え、若い女性に広がっている。ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンさんは「日本でパパ活が広がるのは『若い女性はそれだけで価値がある』という感覚が根強いからだ。ドイツでは若いだけでチヤホヤされることはない」という――。

外国人女性が驚いたニッポンの「パパ活」

日本には「リア充」「ドタキャン」「アラサー」、少し前にはやった「たぴる」など、辞書には必ずしも載っていないけれど、日常的に使われているスラングが数多くあります。

「パパ活」もそんなスラングの一つです。

以前、筆者があるSNSで「パパ活」にまつわるコメントをしたところ、日本語学校に通う外国人女性から「パパ活って何ですか?」と聞かれました。確かに「パパ活」という言葉を日本語学校で習うとは考えにくいです。

「パパ活は、若い女性が年上の男性に食事をごちそうしてもらい、お小遣いをもらうこと」だと説明すると、即座に「それは肉体関係があるということですか?」と直球の質問が返ってきました。

そういうこともあるかもしれませんが、基本的には年上の男性が「若い子と食事や会話を楽しむこと」に対価(お金)を払うのがパパ活です。肉体関係があるとは限らない旨を説明すると、一層驚いていました。

欧米にも「パパ活」の「パパ」を意味する「シュガーダディ」という言葉が存在しますが、どちらかというとドラマや小説の世界を連想させるもので明らかに「別世界」感が漂うのです。筆者が出身のドイツでは大学生から「シュガーダディ」という言葉を聞くことはまずありません。

今回はドイツと日本を比べながら「パパ活」を通して見えてくる恋愛観の違いにスポットをあててみます。

若い女性がチヤホヤされないドイツ

ドイツの年齢肌用の美顔クリームの広告では、皺しわの多い女性がモデルさんであることが少なくありません。ドイツには「年齢を重ねているのに皺が少ないのは不自然だ」という考え方があり、あくまで自然な美しさが追求されるからです。「女性が若く見えること」は日本ほど重要視されていないのです。

日本のメディアでは「美魔女ブーム」をみても分かるように、年齢を重ねても若く見える女性がよく話題になります。「若く見える」だけでなく「実際に若い」女性はさらにチヤホヤされがちです。日本のアイドル文化はその最たるものだといえるでしょう。

筆者が日本に来た20代前半のころ、ドイツにいた時と比べて、周りがチヤホヤしてくれることが新鮮でした。男性だけではなく、年上の女性からも「若くっていいなあ~」「若いと色んな経験ができるからいいね!」「貴女を見ていると若い時に戻りたいなあ」などと言われたものです。

もちろん社交辞令である場合もありますが、その根底には「女性が若いことはよいことだ」という共通認識があることもまた確かなのです。

ただ当時「せっかく若いんだから自分をもっと高く売りなよ」「今が一番女性として価値が高いんだから」「ギャラ飲みとかすればいいのに」とも言われ複雑な気持ちになったものです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

超長期国債中心に円債積み増し、リスク削減で国内株圧

ビジネス

独総合PMI、4月速報50.5 10カ月ぶりに50

ビジネス

仏ルノー、第1四半期は金融事業好調で増収 通年予想

ビジネス

英財政赤字、昨年度は1207億ポンド 公式予測上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中