最新記事

人生が豊かになる スウェーデン式終活

ヒュッゲな北欧から、80歳超の「こんまり」が登場した理由

2018年7月19日(木)17時05分
ニューズウィーク日本版編集部

YouTube

<スウェーデン女性のマルガレータ・マグヌセンは、なぜシニア向けの「断捨離」本を執筆したのか。その本はなぜ世界的なベストセラーとなったのか。そして彼女は、近藤麻理恵の片付け本を意識していたのか>

現在80~100歳(正確な年齢は非公表)。スウェーデンに暮らすマルガレータ・マグヌセンが「終いじたく」、すなわちシニアのための片付け術を書いた本『人生は手放した数だけ豊かになる』(邦訳・三笠書房)が、各国で話題となっている。

本誌7/18発売号「人生が豊かになる スウェーデン式終活」特集では、この本を8ページにわたり抜粋で紹介。他にも「終活」の新常識から最新トレンド、デジタル遺産の整理術までを厳選して紹介している。

そもそもこの本はどういう経緯で生まれたのだろうか。著者のマグヌセンに聞いた。

――なぜこの本を書こうと思ったのか。

私は引っ越す機会がとても多かったので、40年近く「終いじたく」をしてきたようなもの。常に持ち物を減らすよう努めていたおかげで、たくさんの恩恵を受けた。出版社で働く娘の友人に、私が終いじたくを長年していることを話したら、本を書いてみないかと言われた。それで書いてみようと思った。私はいま80~100歳だから、いま書かないともうチャンスがないだろうから。

――「終いじたく」とは何のことか。

家を片付いた状態に保つこと。自分が必要なもの、使う可能性があるもの以外は手放すこと。私は、チーズを削る器具を12個持っていた女性を知っている。終いじたくは、そのうち11個を手放すこと。不要なものを手放すことで、他のことに使える時間とスペースを手に入れられる。

――なぜこの本を書くことが大切だと思ったのか。

たくさんの人の助けになると思ったから。特に、生涯にわたっていろいろな物を集めてきて、最後にそれら全ての持ち物をどうするか考えたことがない人には。

私の回りにも、屋根裏部屋や地下室が使わない物やすっかり忘れている物でいっぱいになっている人がたくさんいる。周りにいる若い人でも同じように物をため込んでいる人がいる。そういう人たちはみんな、物を集める前によく考えることを始めたほうがいい。それも、いま始めるべき。

――想定していた読者は?

40歳以上の人なら、誰でも役立つと思った。40歳で終いじたくを始める必要はないけれど、物の収集癖については考え始めるべき年齢だし、身の回りの片付けは絶対に始めるべき年齢。

――特にどんな人にこの本は役立つと思うか。

生涯にわたっていろいろな物を集めてきた親を持つ中年の人なら、この本を親にあげたくなるかもしれない。そうしないと、自分が屋根裏や地下室に残った膨大な物を片付けなければいけなくなる。

――あなたが子供の時代は、物に対する考え方が今とは違った?

私が若い頃は、服をぼろぼろになるまで着た。当時はブランドもロゴもなかったし、必要な物を持っているというだけでも幸運なほうだった。今の先進国の人たちは、必要以上の物を持ち過ぎている。それが最終的に問題になる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

円建て債券は残高横ばい、オープン外債を積み増し=明

ワールド

トランプ氏の不倫口止め料巡り審理開始、「選挙不正」

ビジネス

「コーチ」の「マイケル・コース」買収阻止へ、米FT

ビジネス

春闘は常に重要な変数、政策変更につながるかは情勢次
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 10

    米セレブの「恥ずかしい肉体」をさらす際どいビキニ…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中